アルカイアの神々 永遠に消えない物語
ゆきいろ
ヘステリオスとルミナ
彼らが長い旅を終えてどこかに消えてしまうと、宇宙には
暗くて静かなその場所は、まるで夢を見ない眠りの世界のようでした。
しかし、アルカイアが消えてしまったことはまったく自然なことといえました。
それというのも、似たようなことは彼らよりももっと昔の時代から数え切れないくらい
年老いたヘステリオスは、
年老いたヘステリオスの顔に刻まれた深いしわのひとつひとつが、彼がこれまでいくつもの
彼の
ヘステリオスは
しかしそんな彼の力も、今ではかなり弱くなっていました。
いま彼の胸のなかにあるのは、
楽しい出来事と同じくらい悲しい出来事もありましたが、思い出のひとつひとつが、夢のかけらのようにかけがいなくきらきらと輝いていました。
今はもう、彼は日を追うごとに小さくなっていく心の火のゆらめきを感じながら、自らが
そんなあるとき、彼の瞳は遠方にほのかに輝く光をとらえました。
それは、宇宙の果てから放たれた光の
年老いたヘステリオスは不思議に思いました。
アルカイアがこの世界を見限り、宇宙の風のなかに溶けていったのを年老いて細くなったそのまなざしで見届けたとき、美しいものや
年老いたヘステリオスは歩みを進めました。
その光に近づくにつれ、時間が凍りつくような
彼の足元には永遠に続く漆黒が広がっていましたが、彼の
へステリオスは老体に
その旅路はけっして簡単なものではありませんでした。
しかし、彼の歩みには力がありました。
ただ
彼が求めているのは、遠くから見れば砂粒のような小さな光でしたが、近づくにつれその光は徐々に明るさを増していきました。彼は目を焼かれながらもなんとか
そして大きくなった光に完全に包まれたとき、年老いたヘステリオスの
ヘステリオスは
「この赤ん坊は
その
そして彼の思いを知ってか知らずか、赤ん坊は彼の太い指を手を握り、
ヘステリオスは、この赤ん坊が残っている限りこの世界の光も消えることはないと信じ、これを守り
彼の心の火は少しずつその温度を高めていきました。
この使命は、彼にとって深い満足感と生きがいをもたらし、
彼は光の赤ちゃんにルミナという名前をつけてあげました。
ルミナとは古い言葉で光を意味します。
この名前には、この世界にこの子が存在するかぎり、光もまた存在するようにという願いが込められていました。
ヘステリオスはこの
ところで年老いたへステリオスの他にも、仕えるべきあるじを失い、広大な
力なき神々はルミナの姿を確認すると、その姿をひと目見ようと近寄ってきて、べたべたとその小さな体に
「この子が次のあるじか。まだ働かせるつもりかよ」
恋の神が言いました。
「この子には
「はあ。
彼らの他にも、集まった神々が口々に好きなことを言い合いました。
年老いたヘステリオスは、
ルミナは
新たな世界の始まりを告げられた神々のなかには、面倒くさそうに
この出会いは、永遠に消えない物語の一部です。
光の赤ちゃん、ルミナを取り巻くあらたな神々の物語は、
偉大なるアルカイアのように栄華をきわめたものでさえ、神々が見た夢のようにあとかたもなく散ってしまう。
これが当然の
アルカイアの神々 永遠に消えない物語 ゆきいろ @hiding
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。アルカイアの神々 永遠に消えない物語の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます