【KAC20246】トリあえず、良かったにゃ~

saito sekai

1話完結

神様は十二支のことで頭を痛めていた。

子(ね):ネズミ、丑(うし):ウシ、寅(とら):トラ、卯(う):ウサギ、辰(たつ):龍、 巳(み):ヘビ、 午(うま):ウマ、 未(ひつじ):ヒツジ、

申(さる):サル 、戌(いぬ):イヌ、亥(い):イノシシ・・・後一つどれにするか・・・其々干支としての仕事を理解しているようだが、神の前で、犬と猿は主張する。


12月31日11時59分59秒に神様の前で、次の主役にバトンを渡すだけなのに、犬と猿は一秒でも我慢出来ない、絶対嫌だと言うのだ。後一つの動物を犬と猿の間に入れるということで、ようやく納得してもらったが、さてどうしょうか…神様は考えた結果、酉と猫を呼び出した。


ここで、干支の仕事を教えておこう。その年の主役は、バトンを渡された時から大晦日から元旦に切り替わる瞬間迄、自覚を持って過ごす、ただそれだけ。お正月には持て囃されるが、後は忘れられる存在なので、実に楽な仕事なのだ。


それはさておき、酉と猫はまだなのか…

じりじり待っていると、やっと猫だけが来た。


神様は聞く「おい猫よ、トリはどうした?」

すると猫は答える。

「ああ、トリあえず食べました」と悪びれずに。

その一言で神は猫を失格とした。


そして、下界への道で猫は一人呟く。


…せっかく来てやったのに、いきなり失格なんて、理不尽だにゃ。トリが居れば、食べたくなるのは当たり前~フワァ…時間?そんなもの猫に期待するだけ無駄無駄。干支の自覚なんて、めんどくさいし。はっきり言って、神様は誤算もいいとこだ。僕ら猫は自由奔放が魅力にゃんだよ。羊の結婚式に呼ばれも遅刻して。でも記念撮影の時にチャッカリ親族席に座ったにゃ。鼠見たら、やっぱり食べたいしにゃ。それでもって兎の代わりに月で餅ついて、ヒンシュク。馬とか、牛とか、大きくてね。虎、龍は怖い。後イノシシ、蛇は・・・よく分かんない。もう800字かな、それではお後が宜しいようかにゃ。



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