光輝く道を見つけられるだろうか。

主人公のひねくれた態度や思考が、それまでの彼を想像させる。今は泥濘の中にあって、藻掻き苦しんでいるのだろう。果たして、彼が守ろうとしている卑屈な「誇り」は、彼を光輝く道へと導くものだろうか。それとも、全ての責任を回避して現状を肯定するだけの自分に甘んじる免罪符となるのだろうか。

周囲への責任転嫁や見下す態度がとてもリアルで良かった。主人公が「師」にだけ執着し、善悪の判断を委ねているところすらも責任転嫁に映る(果たして主人公の「師」は主人公が斯くひねくれることを望んでいるのだろうか)。ある意味グロテスクな情景である。しかし、周囲に失望し頼れる人もいない状況に陥ったとき、人間は大抵こんな風になると、私は経験則で知っている。先述の通り、かなりリアルであり、そこは評価すべき点だと感じた。

夜依伯英さんの他のおすすめレビュー100