許せない光景と決闘を申し込むと武器の重さと

 ここは洞窟の入口付近。ここには波留とライゼルがいた。

 波留とライゼルは、ジェルスラキングが三体同時に消えたため困惑している。


「ライゼル、三体共に消えた。これって、どうなってるんだ?」

「分からない。だけど……もしかしたら、コウとミクセアが能力者に勝ったのかもしれないな」


 それを聞き波留は、ニヤリと笑みを浮かべ頷いた。


「ああ、そうだな。とりあえず、ここで幸とミクセアを待とう」


 そう言い波留は近くの岩に腰かける。

 それを聞いたライゼルも波留の近くの岩に座った。

 その後、二人は幸たちがくるのを待ちながら話をする。


「波留にライゼル……またせた、な」

「いや、そんなに待っていない……が」


 そう言い波留は幸の方を向いた途端、顔を引きつらせた。

 ライゼルもまた幸の方をみた瞬間、半目になる。


「幸……今まで、何をしていたんだ? 両手に花で、さぞかし楽しかったんだろうなぁ」

「そうそう、どんないいことをしてたのかなぁ」


 そう言いながら波留とライゼルの背後には、どんよりと黒い霧がかかっていた。そして二人は、幸に殺意の眼差しを向けている。


「あーいや、これは……別にいいことなんてしていない。ていうか二人共、何を想像してるんだ?」


 そう言うも幸の右腕にミクセアと左腕に星奈がしがみつき、腰にコリュカがしがみついていた。因みにミフェナは後ろに居て、なぜか幸の背中をみつめている。

 そうこれでは、何もなかったと言える状況な訳もなく。


「じゃあ、なんでこんなに女がお前にしがみついている? まぁ……ミクセアは、なんとなく分かるが」

「そう言ってもな……俺にも分からん。なんで、こんな状況になっているのか」


 そう言い幸は、ハァーっと溜息をついた。


「……勝手にお前にしがみついている、そう言いたいのか?」

「ああ、そういう事だ。だから、歩きづらくてな」


 それを聞き波留は、ムッとする。


「フッ、それは良かったな。なぁ……幸、俺と一対一でやり合わないか?」

「波留、急にどうしたんだ?」

「フンッ、自分の胸に聞いてみろ!」


 そう波留に言われるも幸は訳が分からない。


「そう言われても……なぁ」

「ねぇ、ハル。どちらが強いか知りたいのよね?」

「ミクセア、それもあるが……それだけじゃない」


 それを聞き幸は悩んだ。


(どういうつもりなんだ? なんで急に戦おうなんて……。んー、俺が能力なしって知っている……それなのに……)


 そう思考を巡らせる。


「おい、俺はお前に決闘を申し込んでいる……その返事ぐらいしろよな。それと、決闘のルールは能力を使わないこと。この方がいいだろう?」

「なるほど……あくまでも、やり合いたい訳か。じゃあ、武器も禁止でいいか?」

「ああ、構わないが。本当にそれでいいのか?」


 そう波留に問われ幸は頷いた。


「じゃあ、始めようか」


 そう言い波留は、持っている荷物をライゼルに預ける。

 おどおどしながらライゼルは、波留から荷物を受け取った。その後、波留から遠ざかった位置に向かう。

 それを聞いていたミクセアと星奈とコリュカは幸から離れて、ミフェナと一緒に遠ざかる。

 それを確認すると幸は背をっていたバトルアックスを持つと、ドサッと地面に置いた。


(なんだ? 凄い音がした。まさか、そんなに重い武器を背をっていたなんてことないよな。それに、軽々持っていたようにみえたし)


 そう思いながら波留は、バトルアックスをみる。


「幸、ちょっとだけでいい。このバトルアックス、持ってみていいか?」

「ああ、構わないが……重いぞ」


 そう言われるも波留は、信じられずバトルアックスを持ってみた。


「……!?」


 だが、重くて持ち上がらない。


「待て……なんでこんな重いものが持てる?」

「俺は常に鍛えてるからな。それに、そのバトルアックスは……俺でも重く感じる」

「そ、そうか……まあいい。それにこれは、武器も能力も使わない勝負だからな」


 そう言うも波留の顔は青ざめていた。


「そうだな。さっさと、終わらそう。流石にお腹がすいてきた」


 幸はそう言い身構えると、波留を見据える。

 それをみた波留は、腹をくくり身構え幸を睨みつけた。

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