笑い+怒り×2=?

「俺の能力か……実は……」


 幸は言葉に詰まってしまった。


「急にどうしたんだ?」

「なぜぇ……泣きそう……なので……しょうか?」


 そう言われ幸は頭を抱え蹲る。


「やっぱ、言わないと……駄目か?」

「ああ、そうじゃなければ戦うだけだ」


 それを聞き幸は立ち上がり、星奈たちに背を向けた。


「あー分かったよ。言えばいんだろ! 俺はな、能力が全くない……ただの転移者だぁー!!」


 思いっきり声を張り上げ叫んだ。

 それを聞いた星奈とコリュカの目は点になる。


「ちょ、ちょっと待て。転移者が、能力なし? どういう事……普通あり得ない。そもそも、それを信じろって?」

「ああ、信じられないだろうが……本当に能力がない」

「コウ……嘘じゃないって証明は?」


 そう言い星奈は、ジト目で幸をみた。

 幸はそう言われ持っていた女神の手紙を星奈にみせる。

 それを受け取ると星奈とコリュカは、その手紙を読み始めた。


「プッ……マジかよ。女神がギフト渡し忘れるって……ハハハハハ……お腹いてぇ。駄目だ苦しい……」


 そう言いながら星奈は、お腹を抱え大笑いしている。

 コリュカは、心配な顔で幸をみていた。


「だから……言いたくなかったんだよ!」


 そう言い幸は、今にも泣きそうだ。


「……セナ……笑い……過ぎよ。コウが……可哀そう……」

「えーえっと、ありがとう」

「ううん……大丈夫……それよりも……これから……私が……補助……して……あげるわ」


 コリュカはそう言い幸に抱きついた。

 それをみた星奈は、またかと思い頭を抱える。

 抱きつかれた幸は顔を赤らめて、どうしていいか分からず硬直していた。


「コウ!?」


 そう言いミクセアが、怒りの炎を全身に纏い現れる。

 そうミクセアは、幸のことが心配になりここに来たのだ。


「ミクセア!? あーえっと……これは……」


 幸はこの状況をどう説明していいか分からなくなり混乱する。そして、自分に抱きつくコリュカを引き剥がした。


「フーン……なるほど。コウ、この女って彼女なのか?」

「それは……いや、そんな関係じゃない」

「だってさ……どうしようかなぁ」


 そう言うと星奈は、幸の腕にしがみついたあとミクセアをみる。

 それをみたミクセアは、顔を引きつらせた。


「ちょっと待て……セナ、どういうつもりだ!」

「あら……コウが困っているみいたいですよ。離れてくれませんか?」


 それを聞き星奈は、ニヤリと笑みを浮かべる。


「さぁ……どうしようかなぁ」

「あー……セナ……ずるい……ですぅ。私も……コウの」


 そうコリュカは言いかけ抱きつこうとした。

 それと同時に、幸はコリュカの頭を殴る。その後、自分にしがみつく星奈を引き剥がし地面に叩きつけた。


「いい加減にしろっ!! 俺をからかうのはやめてくれ」


 幸は怒っている。


「コウ、まさか私のことも怒っているのかしら?」

「どうだろうな……ただ云えるのは、話をちゃんと聞いてくれ。……それだけだ」

「そうね……ごめんなさい。でもコウが……こんな時に、女性とイチャイチャしていたから」


 そう言いミクセアは目を潤ませた。


「ハァー……まあいい。じゃあミクセア、ここで何があったのか話す」


 そう言い幸は星奈とコリュカを交えて、ここで何があったのかをミクセアに説明する。

 そして幸たちは、しばらく話をしていたのだった。

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