ChatGPT使用小説【迷宮に吹く風】(ハイファン)
■
さて、と君は酒場を見回した。
酒場には探索帰りの多くの探索者達がいる。
一人で呑んでいる者もいれば、仲間達と談笑している者もおり、悲壮感溢れる様子の者もいれば、笑顔を満面に浮かべている者もいる。
君は探索者としてこの街…迷宮都市カノッサへやってきた一人の探索者だ。探索者としては駆け出しだが、情熱の熱量だけは他の誰にも負けない。そんな君の素性は…
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名前: ****
性別: 男性
年齢: 20代
外見: 大きなマントと深いフードで姿を隠し、外見からは性別も年齢も読み取ることは困難。蒼い目。
特技: 剣術。どこかで習ったのか、その太刀筋は鋭く、型をしっかり学んでいる形跡が見て取れる。
性格: 無口。言葉より行動で示すタイプ。ただし、必要な場面ではしっかりと発言する。
奇癖: 熱いものが大好きで、舌の火傷を快楽と感じる。
レベル: 3
力:14
知恵:6
信仰心:1
素早さ:12
器用さ:7
運:4
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君には一つの夢がある。
それは探索者として、迷宮の最下層を踏破することだ。
だがそれは一朝一夕にできる事ではない。
多くの研鑽を積み、そして試練を乗り越える必要があるだろう。
君は先ほど、迷宮都市カノッサの探索者ギルドに赴いて探索者証を貰ってきたばかりだ。
早速にでも探索に赴きたい所だが、迷宮に一人きりで挑むなど常軌を逸している事は君にも理解できている。
であるなら何が必要か?
仲間だ。
君はその志を共にできる仲間はいないかと、酒場を物色し始めた…。
■
やがて君は3名の探索者達に目をつけた。
彼等もどうやら君と同じ新米らしい。
そして都合がいい事に、彼等も仲間を探しているとのことだった。
君は満足気に頷く。
酒場は酒を呑むためだけの場所に非ず、という格言を思い出したのだった。
さて、君が目を付けた仲間達とは…
(ChatGPT使用/ランダムキャラ生成)
②
名前: カイ
性別: 男性
年齢: 24歳
外見: 髪は黒く、目は深い緑色。小柄だが探索者としては十分な筋肉を備えている。
特技: 迅速な足さばき
性格: 陽気で社交的。常に笑顔を絶やさない。
奇癖: 自分の耳たぶを触っていないと落ち着かない。
レベル: 1
力:8
知恵:6
信仰心:4
素早さ:12
器用さ:8
運:7
③
名前: セーラ
性別: 女性
年齢: 22歳
外見: 金髪に蒼い瞳、長い髪は常にきれいに手入れされている。明るい色の服を好み、プライベートの時間では特に青色のスカートと白いブラウスをよく着ている。
特技: 簡単な癒しの魔術
性格: 読書を愛する元気な娘。恋愛物に最近は執心している。
奇癖: 本を読んでいないときは、手がひどく落ち着かない。
レベル: 1
力:4
知恵:7
信仰心:11
素早さ:6
器用さ:7
運:8
④
名前: ジョアンナ
性別: 女性
年齢: 26歳
外見: 茶色の髪と瞳を持つ、美しく柔和な表情の女性。体格はスレンダーで、スタイルも良い。常に赤と金色のローブを纏い、魔法使いらしい雰囲気を纏っている。
特技: 火球を放つ魔術
性格: 忍耐強く、理解力も高い。大変思慮深く、何事も考えてから行動に移す。
奇癖: ローブの下にいつもスリッパを履いている。
レベル: 1
力:3
知恵:12
信仰心:3
素早さ:6
器用さ:7
運:8
■
君とカイ、セーラ、ジョアンナは瞬く間に意気投合した。
君は礼節を弁えた男であり、それでいながら小さくまとまらないどこか雄大な何かを感じさせる雰囲気を持つ。
カイもセーラもジョアンナも、君のそんな雰囲気に警戒心を解きほぐされ、そして彼等もまた迷宮探索へ向かう仲間を探していた事からあっというまに話は纏まった。
・
・
・
「それで?この後はどうする?」
カイが君に尋ねた。
君がセーラ、ジョアンナの方を見ると、彼女達も君の方を見ている。どうやら君は暗黙の内にこのパーティのリーダーとして見做されているらしい。
君は少し思案する。
数瞬の沈黙。
君としては例え夜半であっても、新しい仲間達と共に早速探索に行ってみたいと思っている。
だがカイからはやや酒精の匂いがするし、君もこの都市についたばかりで体には疲れが残っている。
君は無難に、まずは挨拶代わりの飲み会でもしないかと提案した。
カイ、セーラ、ジョアンナも異論はないようだ。
君たちは酒を酌み交わし、それぞれの話をした。
ジョアンナはなぜかスリッパを履いており、それを奇妙に感じた君は彼女に理由を聞くが、彼女もなぜ自分がスリッパを履いているのかよく分からないという。
ただ履いていないと落ち着かず、魔術の詠唱も上手くいかないという事だ。
セーラは難しい顔でジョアンナの足を凝視している。
それに気付いたジョアンナは苦笑しながら言った。
「呪いとかじゃないんですよ。生まれ持っての…何というか悪癖…というのかな。私も困っているけれど、もう自分ではどうしようもないんです」
カイは大声で笑うが、生来の陽気さが陰湿さを感じさせない。
ジョアンナも嘲笑われたなどとは感じずに、カイと一緒になって上品にクスクスと笑った。
セーラはやや酔ったか、ジョアンナの足に顔がくっつく程に近づけて、本当に呪いがかかっていないかどうかを確認しているようだ。
君はそんな仲間達をみて満足気に一つ頷いた。
酒杯を傾けつつ、さて明日はどの様な依頼を受けようかと思案する…
■
翌日。
君は他の三人と探索者ギルドで落ち合った。
君はにっこりと笑いながら一つの依頼表を仲間達に見せる…
(ChatGPT使用/シナリオ生成、難度2、突発的危険度乱数)
(乱数確定…3)
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「迷宮の地下1Fでの宝石探し」
(難度2、突発的危険度3)
依頼名: "地下2Fの謎の鉱石探索"
依頼者: ギルドの依頼。冒険者ギルドが最近地下2Fで見つけた未知の鉱石のサンプルが必要。
依頼詳細: 迷宮の地下2Fにある特定のエリアで謎の鉱石が採れるとの情報がギルドに寄せられた。その鉱石が何なのか、詳しく調査するためには、そのサンプルが必要だという。探索者たちの任務は、迷宮に潜り、指定されたエリアで鉱石を探し出し、無事にギルドに持ち帰ること。その鉱石は独特の光を放つため、見つけることは難しくないはずだ。ただし、そのエリアには危険なモンスターが生息しているとの情報もあるため、注意が必要だ。
予想される困難: 地下2Fのエリアには、攻撃的な魔物が棲んでいる。また、予期せぬトラップや突然のモンスターの群れなどが襲ってくる可能性がある。
報酬: 鉱石のサンプルを無事に持ち帰った場合、ギルドから1つ辺り銅貨30枚の報酬金が支払われる。
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「ふうん、謎の鉱石ね…」
カイは首を捻っている。
そんなものあったかな?と呟いているが、セーラがさもありなんという様な表情を浮かべていた。
「迷宮はある日急に、それまで存在しなかったモノがひょっこり生えてきたりするからねっ」
君は予想される困難の事を考え、応急措置の道具を少し多めに持っていこうか考える。セーラの魔術は傷を癒すが、それはあくまでも傷だけだ。例えば毒などを癒す事はできない。それはまた別の魔術が必要だ。
君がそれを提案すると、セーラはうんうんとしきりに頷いていた。
どこか喜色の気配が振りまかれているようにも思える。
君が理由を尋ねると、どうやら癒術師は何でもかんでも癒せると勘違いしている探索者が多いのだそうだ。
「あ、地下2階は明かりが乏しいので、ランタンをもっていかないと駄目ですよ」
ジョアンナが言い、君は頷いた。
迷宮探索は準備が肝要だ、しかし準備をしすぎて足が鈍っても意味がない。必要なものと不要なものを素早く見極める、それも探索者の能力である。
やがて君たちは正式に依頼を受け、必要だと思われるものを買いに行った…。
■
さて、君たちは今迷宮の入口に立っている。
大きな石扉の先には地下へ向かう階段があるだろう。
「これって石に見えますけど、実際は石じゃないというか…一体何で出来てるんでしょうね?」
ジョアンナが誰ともなしに言う。
君は拳でコツコツと扉を叩くが、勿論材質などは分からない。
ただやってみたかっただけだ。
ぐっと力を込めて押してみる。
すると、扉は音も無く開いた…
・
・
・
薄暗い通路は不気味な静寂に包まれていた。
側壁には一定間隔で明かりが設置されている。
「なんかさ…雰囲気、あるねぇ」
セーラの声色にはそこはかとない不安が籠められているが、そんな不安の雲をカイの声が払い除けた。
「大丈夫だって!ほら、リーダーだって堂々としたもんじゃねえか。なんだか歴戦の剣士って感じだよなぁ」
君はカイが言うような歴戦の剣士というわけではないが、それでも剣のあしらいには多少の自信を持っている。
少なくとも、地下1階で不覚を取るつもりは毛頭無い。
それに、君はカイが自身の左の耳たぶを頻りに触っている事に気付いていた。これはカイの癖ともいうもので、彼は自分の耳を触る事で精神を安定させているのだ。
つまり、陽気にふるまってこそいるが、カイもまた緊張をしているという事である。
そういう時リーダーである君はどうすべきか?
君は言葉ではなく行動でその意思と覚悟を示すようにパーティの先頭に立ち、ゆっくりと歩を進めた。
ジョアンナとセーラは顔を見合わせ、君の背を追う。
カイは殿だ。機敏で勘に優れるカイは奇襲などへの警戒がその役目となっている。
§
パーティが歩を進めて暫くすると、君はかすかな気配を感じ取った。電光石火の抜剣が閃き、暗がりから飛び掛かってくる小柄な何かを一刀両断にしてのけた。
キャッという声が君の後ろから響く。
セーラか、あるいはジョアンナか。
そして小さな羽ばたき音。
コウモリだろうか?
迷宮のコウモリは厄介だ。
素早く、鋭い牙で噛みついてくる。
殿はカイだ。
君は数瞬、後ろを振りむいて状況を確認するかどうか悩んだが、後ろはそのままカイに任せる事に決めた。
なぜならば更に数匹、小さい人影が飛び込んできたからだ。
"それ" は緑小鬼とよばれる迷宮地下1階に巣食う小人である。
悪食で、獰猛…ただし非力であり、戦いの業を積んだ剣士にとっては何と言う程の相手でもない。
だが万が一手傷などを負ってしまえば、緑小鬼は興奮してそこを集中攻撃してくる。それが原因で死んでしまう新米探索者も決して少なくはない。
薙ぎ、突き、斬り下し…
君の剣術は、数体の小鬼を殺害するには十分事足りるようで、たちまちに数体の小さい死骸が君の前に積まれることとなった。
背後でも上手くいっているようだ。
羽ばたき音が一つ消え、二つ消え…君が後ろを振り返ると、カイが短刀についた血をふき取りながらニヤリと君に笑みを投げていた。
頬に切り傷を浮かべ、朗らかな笑顔を浮かべるカイはどことなく凄みがある。戦闘後で血気にはやっているのだろうか?
君が頬は大丈夫かとカイに尋ねると、カイはきょとんとした様子で頬に触れて飛び上がって驚いていた。
どうやら負傷したことに気付いていなかったようだ。
ともあれ、君たちは最初の戦闘に勝利した。
この経験は君たちを探索者としての確かな成長につながるであろう!
■
「はーい、動かないでね」
セーラが人差し指に純白の光を灯し、カイの頬を撫でる。
ウッという気色悪い声。
君の背筋が僅かに震えるが、多少なり深そうにも思えた傷が瞬く間に塞がっていく様は驚愕の一言であった。
君がセーラの手際を讃えると、セーラはやや頬を染めて俯き、小さい声で "手…" と言う。
君は自らの失態に気付いた。
思わずセーラの手を握りしめてしまっていたのだ。
君は治癒の魔術を見た事は初めてではないが、それでもセーラの手際は新米探索者としては破格であり、余程人体の造りを学んでいなければああはいかないだろう。
君は謝罪しつつ手を離し、そしてカイに傷の具合を尋ねた。
「大丈夫だけどさ、****って案外やるよなぁ。もちろん剣技だけの事じゃないよ?」
カイはやや呆れ混じりに言い、ジョアンナもそれに応じた。
ちなみにジョアンナが戦闘に参加しなかったのは魔術の消耗を避けるためだ。彼女は強力な火球の魔術が使えるが、その回数は1日に3度といった所で、何度も使う事ができるものではない。
この回数は研鑽と共に増えていくが、基本的に魔術というものは奥の手といった扱いなのだ。
君たちはパーティの初の勝利に喜色を浮かべ、そしてすぐに気を引き締めた。迷宮で浮かれた気分でいるわけにはいかない。
自信と過信は似て非なるものなのだ。
君たちは迷宮の奥へ更に歩を進めていく…
だが最初の謎ともいうべき関門が立ちふさがった。
そこは行き止まりであった。
しかし壁の前に三つの石像が鎮座し、石像はそれぞれに三面を持ち、狼、鳥、魚が刻まれている。
壁自体にも何か刻まれており、ジョアンナが目を凝らして壁を見ると、刻まれているのが大きな鳥だと分かった。
"謎" である。
迷宮にはこのような "謎" が多く、それらは大抵探索者達の障害となって立ちふさがっている。
「まあ、これはね」
ジョアンナが何ともないように言う。
彼女にはこの "謎" がどんなものなのか一目で分かったのだ。
「ジョアンナ、この石像、動くみたいだ。台座が回るんだな」
カイの声が響いた。
カイは目ざとい。
彼もまたこの "謎" の核心を掴んだようであった。
君たちは、君、ジョアンナとサリー、カイの三方に別れ、それぞれ鳥の面が前方を向く様に石像を回し始めた。
振動、そして鳴動。
目の前の壁が左右に開かれていく。
「やったぜ!」
カイが歓声をあげる。
これは新米探索者には事前に教えられない "試し" の一つだ。
探索者ギルドでは迷宮に関して様々な情報が得られるが、このような試しに関しては教える事は禁忌とされている。
これは要するに足切りで、この程度の謎なら誰に頼らなくても自力で解けるようになってほしいという、いわば鍛錬の一種である。
君たちは意気揚々と地下2階への階段を降りていく。
先頭は君、次にセーラ、ジョアンナ、最後はカイだ。
こつんこつんと音が響き、そして "あ!" というジョアンナとカイの声も響く。何事かと君は振り返り、そして目を見開いた。
そこには短杖を振りかざすジョアンナの姿があったのだ。
■
君は瞬時に裏切りの可能性を考えた。
しかし、考えた半分程度の時間でそれを打ち消す。
ジョアンナの瞳に浮かぶものは敵意でも殺意でも害意でもなく、君の身を慮るような気遣いの色だったからだ。
そこで君は遅まきながら頭上に気付く。
天井から落下してくるのは…岩!
君の身のこなしをもってしても確実に躱せるかどうか…
だが心配は無用だ。
ジョアンナの短杖から放たれた炎球が岩を吹き飛ばしたからだ。
「ふう、危なかったですね。間に合って良かったです。この階層は要注意ですね。坑道型というんでしょうか…ちょっとした振動で落石が起こったりするみたいです。壁が開く振動で緩んでいたのかもしれません」
君はジョアンナに手札を切らせてしまった事を詫び、助けてくれたことを感謝した。セーラはやや落ち込んでいる。危機に気付く事ができなかったからだ。君たちはセーラを慰める。角度の問題でセーラには落石は見えなかったのだから仕方がない。
さらに奥へと進むと、開けた広場に出た。
そこは依頼にあった "特殊なエリア" だ。
これだけの広さなら、周囲を警戒しつつ休息を取り、体力が回復したら依頼にある品を探し求めるという事もできるだろう。
だがそこで休むことはできなかった。
なぜなら広場の中心には一体の巨大な怪物が佇んでいたからだ。
「そんな!あれは灰色大鬼!!」
ジョアンナが叫ぶ。
君は内心で舌打ちをした。
君もまたその怪物と戦ったことはないが、名前だけは知っていた。
分厚い脂肪に覆われた半巨人だ。
濃い鼠色の、隆々とした筋肉からくり出される打撃は単調ながら非常に危険な一撃となる。
また、この怪物の恐るべき点は異常な再生能力である。
多少の切り傷などはたちまちに治癒してしまう。
短刀術を得意とするカイ、剣術を得意とする君にとっては天敵と言える。
だが、君たちの武器は何も刃物だけではない。
ジョアンナは短杖を握る手に力を籠める。
自身がこの戦いの鍵を握っている事を理解しているからだ。
責任という名の不可視のプレッシャーが彼女の双肩に圧し掛かり…だが、膝を折る事はなかった。
組んだばかりのパーティだが、それでも彼女は仲間達との間に絆の芽生えを感じ取っている。迷宮は恐ろしい場所だが、仲間と一緒ならば…ジョアンナは一瞬目を瞑り、そして勇気をくべて魔力を燃やし始めた。
「奴は火に弱い筈です!あと2回、とびっきりの火球を撃ちますから隙を作ってください!」
ジョアンナの返事を待たず、君が飛び出した。
カイがその後に続く。
セーラは待機だ。
怪我人に備えている。
君は剣で仕留めようとは思わなかった。
それが無理だと分かっているからだ。少なくとも今は。
振り下ろされる剛腕を半身で躱し、君の剣が空を舞う燕の様に舞う。飛び散る僅かな血、しかし傷はたちまち塞がってしまった。
だが君はうろたえず、斬りつけては距離を取り、只管牽制に徹した。
カイも似たような戦法を取っているが、彼の場合はもう少し泥臭い。砂、石。足元に散らばるそれを拾い、灰色大鬼に投げつけた。
そんなもので傷を負わせることは出来ないが、それでも灰色大鬼の堪忍袋は瞬く間に限界に達したようだった。
灰色の肌に赤身が差す。
禿げ上がった頭部に血管が浮き出ているのが傍目にも分かる。
「おい!うすのろ!腕を振り回すしか能がないのかよ!」
カイが叫ぶ。
悪乗りではなく挑発の為だ。
灰色大鬼の攻撃は単調ではあるが、猛烈な勢いでくり出されている。身のこなしに自信がある君と言えども、ずっと集中力を維持し続けるというのは厳しい。
君の息が切れてきた瞬間、カイは灰色大鬼の注意を自身に惹こうと声を上げたのだ。何たる勇気!
君は内心カイに感謝し、呼吸を整える。
カイは灰色大鬼の周囲を飛び回り、転げまわり、その連撃を掻い潜っていた。大鬼を挑発するために頻りに罵倒や嘲笑を飛ばしてはいるが、目は真剣そのものだ。
カイの体格では一撃でもうければ当たり所が悪ければ死ぬ。
しかし君はじっと灰色大鬼の攻撃を見つめていた。
呼吸を見極めているのだ。
全ての行動には呼吸を伴う。
息を吐きながら攻撃する馬鹿はいない。
それでは力が入らないからだ。
吸って、吐いて
吐いて、吸って
灰色大鬼がスゥっと息をすったその瞬間、君は弾丸の様に飛び出し、渾身の突きを灰色大鬼の脇腹に突き入れた。
ただ斬りつけて肉を切るだけでは効果が薄い。
だが渾身の力で内臓まで剣を突き込めば話は別だ。
呼吸を読み、そして内臓を突き刺す。
身体ごと突き込んだため、もし灰色大鬼の反撃があれば君はかわせない。だが君は仲間を信じていた。
響く絶叫、そして炸裂する炎弾。
ジョアンナがチャンスを見逃さず、魔術を放ったのだ。
燃え上がる巨体!
君はすかさずその場から飛びのいた。
灰色大鬼は非常に脂肪が多い。
その脂肪は燃料にも使われている程で、とにかく火に弱い。
しかし、それゆえに灰色大鬼も火を恐れる。
だから君とカイが隙を作らなければ火球は簡単にかわされてしまっていただろう。
ジョアンナの言葉を信じ死線に身を投じた君とカイ。
君とカイのつくったチャンスを活かしきったジョアンナ。
セーラも忘れてはいけない。
彼女が後方で控えていたからこそ、君とカイは臆することなく灰色大鬼に立ち向かう事が出来たのだ。
君たちは内心でそれを感得し、目と目を見合わせ、確かな絆が育ちつつあるのを感じ取る。
・
・
・
肉が燃える厭な匂いが広がり、しかし君たちは油断せずに怪物が燃え尽きるのを待つ。
やがて巨体は膝を突き、火は尚も燃え盛り…
最後には人間大の真っ黒いナニカがその場に残った。
君たちは息をつく。
強敵、灰色大鬼を斃したのだ。
身体部位を切り取り、ギルドへ持っていけば報酬を受け取れるが、君たちにはそんな余裕は無かった。
僅かにでも欲を出せば死人が出たかもしれない。
紛れもない死闘を経験した君たちは、探索者として多くの経験を積んだ事になる。精神的にも肉体的にも一歩成長をしたといっていいだろう
■
君たちはその場で暫く休憩を取る事にした。
休憩中は幸いにも魔物は現れず、君たちの体力は十分に回復した。
「お?おい、あれじゃないのか?何だかうっすら光っているけれど」
カイが声をあげた。
君たちがカイの視線を追うと、そこには淡い青色の光を発している不思議な鉱石がいくつも壁に埋まっている。
「まるで壁から生えてきたみたいだね。鉱山とか行ったことないけど、鉱石ってあんなにポコポコ壁に埋まってるものでもないよね?いや、分からないけど…」
セーラの言葉に君は曖昧に頷いた。
君もセーラ以上に鉱山の事を知っているわけではないからだ。
「そう…ですね、まあ迷宮だからそういうものなのかもしれません。そういう雑な説明は余り好きではないんですけど、迷宮は実際に奇妙な事が平気で起こりますから…」
ジョアンナの言葉に皆は一応の納得をし、鉱石を壁からくりぬいていく。
「鉱石ってこんな風に引っこ抜けるものなのかなぁ」
カイがごちるが、それは一行の総意でもあった。
君も内心で首を傾げながら作業を続ける。
やがて鉱石が袋に十分詰められ、一行は帰還の途についた。
幸いにも帰路では何かに遭遇することはなく、都市へと帰還した。
そして無事に未知の鉱石をギルドに提出し、依頼を完了し、報酬を受け取った。
ギルドからの評価、報酬。
そういったものは確かに新米にはありがたいものだが、君たちはそれ以上に貴重なモノを得たと感じている。
それはいうまでもなく、仲間達との絆…のような何かであった。
今はまだ芽の様なものなのかもしれない。
だがより多くの冒険を、より多くの試練を共に乗り越える事により、芽は木となり、木は大樹となるだろう。
君の目標は迷宮最深部の踏破だが、それはこの都市だけの話ではない。世界中の、あらゆる迷宮を踏破することが君の目標だ。
そのためには、命を預けられる仲間同士の絆が必要である事はいうまでもない。
だが今夜は休む事にしよう。
明日からのさらなる冒険に備えて英気を養いたまえ。
(了)
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