オーガズム

@ku-ro-usagi

ショートショート(アホ枠)

婚約してた彼氏が浮気した

相手は会社の後輩

なぜそうなったのかと問い詰めてもなかなか口を割らないため

「話したら別れ話は保留にしてやる」

と言ったらあっさり話した

事は単純

会社の飲み会で

隣に座った後輩ちゃんに

囁かれたらしい


「今日私、すっごい下着を着けてるんですよ、見たくないですか?」


これだけ

たったこれだけで凋落

イチコロですよ、奥さん

はい

こんなアホとは付き合ってられないと即放流しました

別れました

男を落としたい皆さん

相手がチョロスケなら即落ちしますよ

お試しを

ってね

それでもね

婚約までしてたからさすがにちょっと落ち込んだし愚痴りたくて

女友達を居酒屋に呼び出してグチグチと話を聞いてもらってたんだけどね

その友達がさ

いきなりこちらの話を遮って語り始めたんだ



「時は数ヶ月前に遡るんだけど

コンビニへ行ったらね

久々にan・a◯見掛けたの、雑誌ね

そしたら

『女は感度が大事 男を虜にするのは身体の相性』

とか相変わらずセックスをバンバン煽っててさ

今付き合っている彼氏

顔はいいんだけど

短小早打ちの二重苦で

でも健気な私は

「そうね、彼氏に合わせて感度よく早くイケる女にならなくては」

と研究と勉強を始めたのよ

たどり着いたのは膣圧を高める筋トレとイメトレ

イメトレはともかく筋トレはダイエットにもなるしと早速ジムへ通い始めてね

ジムでは当然

「セックスで早くイケるため」

なんてのはおくびにも出さず

「何が何でも下半身の引き締めがしたい」

と伝え早速トレーナーにもついてもらった

家で仕事場では自主トレとして絶えずぎゅっぎゅっとあそこに力入れてね

そうして膣イキの努力も怠らなかった

ジムに通いはじめて早2ヶ月

多分私には、セックス(イキやすい)の才能があったのだと思う

それらすべてがのちの悲劇に繋がっていたの

その日のメニューはスクワットだった

私は身体の感度を上げるため

担当トレーナーとの卑猥なイメトレをしながら

きついスクワットをこなしていた

時は奇しくも生理前の発情状態時

スクワットをすると嫌でも締め付けられる敏感な膣内

私の身体は一瞬で昂り

性的快感を感じていたの

たかがスクワットで

されどスクワットよ

でも今思えばね

その時点でギブアップしてやめるべきだった

けれど

「はい、あと5回です!それいーちっ!」

とトレーナーに煽られて簡単には止められもせず

「もう少し、もう少しですよっ!!」

のイケメントレーナーの声は

私にスクワットの回数でなく

すでに絶頂までのカウントダウンを教えているように聞こえて仕方なかった

「3回、いいね、あと2回!」

と言われるときには、もう半分イキかけていたし呼吸も別の意味でとても乱れていた

でも!

まだなんとか我慢できる!

できなきゃおかしいわと耐えていたその瞬間ね

「おっと、体勢が崩れてます、失礼しますねっ!」

とね

いやらしさの欠片もなくトレーナーに身体にがっしり触れられて起こされた瞬間よ

発情状態の私は、男の手に触られたと言う衝撃で

あの間抜けなスクワットポーズで、

大勢の生徒さんたちとトレーナーさんたちが筋トレに励む空間で

「ハッ!?……ハァァァァンッ!?」

と声を上げて絶頂してたわ

膝を震わせてそのまま床に倒れ込み快感の余韻で動けず

小刻みに震える身体をよ

トレーナーたちに抱えられ担架に乗せられ救護室に運ばれ

その間にも初めての恍惚のアへ顔を色んな人に見られた

そう

これ以上

「生き恥」

って言葉が似合うシチュエーションもなかなかないと思うの

一生分どころか前世と来世を足したくらいの恥を

私はかいた

でも

あれは今まで生きていて一番気持ちよかった

あと絶頂って案外セルフでも簡単にできるものなのね

やってみないと解らないものね

才能素質も必要だと思うけれど


当然

それ以来そのジムには一度も通わず退会した

入会金高かったのに

しかもね彼

私の膣圧のお陰で更に早打ちになったわ

何事もやりすぎは禁物って教訓話

ね?

だから、ほら

アホクズ野郎の浮気と婚約破棄なんか大した事ないでしょ

元気出して!」

私はそんな友達想いの友のお陰で失恋&婚約破棄のショックを一瞬で拭えた

でも友達は

いつの間にか酷く静まり返っていた飲み屋で

また大きな恥をかいていた






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