嫉妬

 女子校では、

 自然な成り行きとして、

 運動神経のよい先輩がもててゆく。


 女子校に限らず、

 共学でも同じ傾向はあるだろう。



 短髪で

 活発で

 俊足で

 痩身で


 それは そのまま男子にも当てはまるのかもしれない。


 とはいえ、

 女の園では

 かっこいいが 女子に向けられる。

 そして、

 それは 同時に

 憧憬をも生み出す。


 恋愛と憧れと

 親しみを込めた感情は

 綯い交ぜになって

 対象に向けられる。


 手を伸ばせば 届きそうにさえ思える

 生の声を聞ける アイドルのように




……アイドル?


ミサキの手が止まる。


アキラは、みんなのアイドルなのだろうか?


アキラは、そんなこと望んでいないのに。


アキラは、注目なんてされたくないのに。


そう、

アキラの気持ちをわかってあげられるのは、ミサキだけ。

ミサキだけが、アキラの心に寄り添えるのよ。


だから、

あのコが目障り。


アキラを振り向かせようと画策している あの子を見ていると

ミサキの了見の狭さを 痛感させられる。



アキラを 誰にも、触れさせたくない。


アキラの手を ミサキは放したくないの。


アキラの思いを 誰にも、話したくない。


ミサキだけが

アキラの隣にいれば いいの。


アキラに 取り巻きなんて いらない。


アキラは ミサキだけを 見ていればいいの。


ミサキだけが、アキラを……








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