第4話

「やはり魔王は手強かったな」

と勇者の佐藤孝雄さとう たかお君。

「うん、攻撃力強化魔法バルキイトの攻撃が全く通らなかった」

 戦士の美咲華みさき はなちゃんが続ける。

「私の爆発呪文イオ・ナズーン雷撃呪文ギガディーン究極呪文マダテンすらも思った程の効果は与えられなかったし」

と魔法使いの高橋紗菜たかはし さなちゃん。

「やっぱりハナサ洞窟どうくつ龍殺しの剣ドラゴンスレイヤーを手に入れないとダメなんじゃない?」 

 そして私、井手恵いで めぐみの一言にみんな、

「うーん」

と押し黙る。

 ハナサ湖は、いでいてくれたら良いけれど、湖面が荒れ狂っていると龍がいて、洞窟にすら入れないのだ。

いてくれると良いんだけれど」

 華ちゃんが言うと、

「行くしかないな」

「そうだね。龍さんサクッとやっつけて、ドラゴンスレイヤー頂いちゃおう!」 

 孝雄君と紗菜ちゃんが口々に言う。

「そうと決まったら。みんな手をつないで、はなさないでね」

 私は呪文の詠唱えいしょうを始める。

「なあ、やっぱり……」

はなさないで!」

 孝雄君が何か言い掛けるも、紗菜ちゃんが制してくれた。

 呪文の詠唱が終わると、みんなの身体が青白い光に包まれた。

瞬間移動呪文ルウラ!」

 私達は一筋の光となって飛び立った。


 ハナサ湖は凪いでいた。孝雄君が魔法の絨毯じゅうたんを広げると、私達はそれに乗る。

 湖面を越えてひとっ飛び、対岸の岩山の洞窟へと辿り着いた。

「ここには龍がいるんだよな。おっかないが、魔王より強いってことはないだろう。行くぞ! はな紗菜さな、めぐみん!」

 孝雄君が洞窟へと一歩を踏み出し、華ちゃんと紗菜ちゃんが続く。

 ……って、めぐみん?

が名はめぐみん。高魔族こうまぞく随一ずいいち上級魔女アークウィッチにして最強の爆裂呪文を駆使する者。って、私、僧侶だよぉっ!」

 『このすば』めぐみんって、こんな感じだっけ? 名字呼びから愛称に変わったのは良いけれど、『めぐ』で良いじゃん! なんで文字数増やすのよ!

「何、ぼーっとしてるんだ、めぐみん? 置いて行くぞ!」

「待ってよ、みんな。はなさないで〜っ!」


 続かない

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はなさないで ーショートコント風連作短編集ー 魔女っ子★ゆきちゃん @majokkoyukichan

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