僕、勇者。今エロトラップダンジョンなんだけど、魔法使いちゃんのパンツが死ぬほど見たい。

豆腐数

勇者「パンティって言うといきなりおっさん臭くなるよね。父さんは女子の下着は必ずパンティって言ってた」

「いやぁ~!パンツが、パンツが見えちゃう〜!!」


 ゴー! ヒュゴー!


 呪文を唱えるより吟遊詩人や流れの歌唄いでもした方が良いんじゃないか。と思う愛する魔法使いちゃんの可愛い声をエロトラップダンジョンで拝聴しながら僕は思うのだ。


 嗚呼、魔法使いちゃんのおパンツが見たい。と。


 僕はいわゆる勇者と呼ばれるやつだ。遠いご先祖が勇者だったというだけで鳴り物鳴りのジャラジャラドッカンで村を蹴り出され、魔王を倒すことになった可哀想な少年だ。


 まあ一応勇者とはいえ野郎のプロフィールなんぞ大半の人はどうでもいいと思うので割愛するが、そんな可哀想な少年にも光は差す。それが同じ村からお供として旅立った魔法使いちゃんなのである! 村の偉〜い預言者おばあちゃんが指名した秘蔵っ子で、村を出るまでは僕も「あそこの魔法使いのおうちの娘さん可愛いらしいぜ」という風のウワサでしか知らなかったのだが、いざ紹介されるとコレが本当に可愛い。二つのおさげは村の娘さんって感じで普通だけど、栗色の髪は他の女の子より明るめで、パッチリした目はずっと見ていたいくらいにくりっくりで、村中の若草を集めたような薄緑のワンピース魔女衣装がなんとも素朴な上品さを醸し出して愛らしい。


 もっとも今はその伝統ワンピース衣装によって彼女が大変困っているわけだけど。


 ゴー! ヒュゴォオオ!


「勇者くぅぅん! 絶対、ぜぇえったい手を離さないでね!!」

「わかってるよマイハ……じゃないや魔法使いちゃん」


 今僕はエロトラップダンジョンで魔法使いちゃんのワンピースのスカート部分を一生懸命抑えている。冒頭から聞こえるヒュゴー! とかいう謎の擬音は、今いる部屋の床から吹き上がる風の音ってわけだ。魔法使いちゃんの声が叫ぶように大きい(それでも声はプリティだ)のも、風の音がうるさくて聞こえにくいからってわけ。


 このエロトラップダンジョン、ショボいというか程度が僕より歳下のクソガキレベルで、深刻な事は起きないのだがとにかく女の子のスカートをめくりたがる。ちなみに僕は野郎なので、変なスイッチをリズミカルに踏んでも一切合切何も起きず、ちょっと寂しかった。ちなみに魔法使いちゃんが試しに踏んでみたら、スケベなゴブリンが走って来てスカートめくりをしに来て、魔法使いちゃんの植物魔法の鞭で絞め殺された。くそぅ、男女差別だ。


 この部屋も僕が入った時は「ただ床に穴が空いてるだけの、宝箱もない失礼な部屋」でしかなかったのだが、魔法使いちゃんが入った瞬間下から風が吹き荒れ始め、ご覧の通りというわけだ。


 幸い風は一定時間吹いては止みを繰り返しているので、風が来るたび立ち止まって、二人がかりでスカートを抑えつけながら進めば突破出来る。


 ここで問題なのが、パンモロ部屋(今名付けた)が思いの外長く、最初は真面目に乙女のパンチラ貞操を守っていた僕も、「この手を離したい……!!」と思い始めてしまったという事だ!


 だって魔法使いちゃんとは結構良い関係築いてるし! 宿に部屋が一つしか空いてない時も「二人きりで泊まるのドキドキするね……」なんて真っ赤な顔でモジモジしてたし! 旅の途中、村の結婚式に招かれて一緒に綺麗な花嫁さんを見届けた時も、「私もこの旅が終わったら勇者くんとけっ……なんでもない!」とか思わせぶりな発言したし! まさかこの流れで決闘しろなんてことはあるまい!!


 とにかく、宿の同じ部屋で泊まった時も誓って何も無かったし、僕は僕のムッツリを彼女にぶつける事もなく紳士に振る舞って来たつもりだ。お付き合いを飛ばしていきなり逆プロポーズ結婚に持っていこうとした節のある、よく考えると激重魔法使いちゃんを受け止める覚悟もある!!


 だから!! 今ここでうっかり手が離れてパンツを拝んでしまうくらいは良いじゃないか!!!


 小さい頃、「好きな子の全部が見たいってのがスケベの始まりだぜぇ」って、ビール飲みながら僕の父さんもえらっそうに語ってたし。「お前の母さんなんか、初めての時な」のところで母さんに腹蹴りされて大人しくなったから詳細はわからないけど。うん、まあ腹蹴りはやり過ぎかもしれないけど。赤ちゃんは村のキャベツ畑から生まれるって信じてた時の僕にはちょっと早い話題だったのは確か。


 とにかく、今の僕にパンチラは早くない!! 遅いくらいだ!! 英雄色を好む、僕のご先祖様なんかハーレムパーティだったらしいし僕なんか可愛いもんじゃないか!!


「ギエヒヒィ〜!! パンティヲミセロォ〜!!」


 僕の邪な心が招いたように、どこからともなくスカートめくりゴブリンが現れて魔法使いちゃんに襲いかかる!!


「ジャマダ!!」

「ナグェ゛!!!」


 僕はクソガキゴブリンに腹蹴りを食らった。バカな事言いかけて母さんに腹蹴られた時の父さんの悲鳴「ナベェ!!!」とか意味不明で面白かったなとか思ってたからバチが当たったのかな。ゴメン僕も立派に父さんの血を引いた悲鳴が出たよ。


 スカートの端を抑えていた手が外れる。僕の身体も吹き飛ぶ。もう抑え直すのは間に合わない、ならば!!


「僕もまだ見てない魔法使いちゃんのパンツをゴブリン風情に見られてたまるかぁああああああ!!!」


 とっさに抜いた剣がゴブリンを突き刺した! パンツへの情熱以外は普通に雑魚なので一刺しで簡単に倒せた。


「勇者くん、やったあ!!」


 魔法使いちゃんが諸手をあげて僕の活躍を称える。ロングスカートは上半身を覆い尽くすほどめくれ上がる。


「あっ」

「イヤアアアアアアァアアア!!」


 多くは語るまい。

 若草色。

 イチゴ模様。


 それが秘められし花園の全てだった。



 往復ビンタ喰らっても見る価値はあったよ、うん。ほっぺの両側にしばらく魔法使いちゃんの小さく白い手形がついてたけど勲章ってやつさ。フッ。

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僕、勇者。今エロトラップダンジョンなんだけど、魔法使いちゃんのパンツが死ぬほど見たい。 豆腐数 @karaagetori

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