お化け階段奇譚

暇崎ルア

プロローグ

 これから僕が話すのは、階段で体験した怖い話だ。つまり「階段の怪談」。

 つまらないギャグはさておき、階段を怖い場所だと感じたことはないだろうか?

 まっすぐ続いた階段ならいい。どこにつながるのかがはっきりわかる。

 でも、そうでない階段もある。途中に折り返しスペース、いわゆる「踊り場」がある階段は、自分の足で確かめるまでどこにつながるのかがわからない。

 階段を上った先が、あるいは下りた先がどこなのか。そしてそんなもの、果たしてちゃんとあるのか。

 自分とは逆方向の道を行きたい誰かが逆方向にいたとしても、行ってみるまで気づけない。なかなか恐ろしい作りなんじゃないかと思う。

 僕が去年の夏に怖い体験をしたのも、踊り場のある長い階段だった。

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