童子丸。

猫野 尻尾

第1話:京都(みやこ)の危機。

お試し投稿です。

こういった話を書くと、疲れますね。

やれやれです・・・先が思いやられる。



京の鞍馬山で自由気ままに天狗を相手に修行していた童子丸どうじまる

現在、17歳。


童子丸は人間の父親である陰陽師「藤原 元親ふじわら もとちか」と母親「蓮の華はすのか」と言う妖狐との間に生まれた。

だから童子丸も母親の力を、神通力を受け継いでいた。

そして母の先祖より伝わる妖刀「砍妖丸かんようまる」の使い手でもあった。

砍妖丸かんようまる」は魔を抹消するために鍛えらてた妖刀。


童子丸は将来は父と同様、陰陽師として朝廷に仕える身であったが

元来の自由人だったため、堅苦しい宮使いはごめんだと、鞍馬山に

こもって世捨て人のように天狗たちと暮らしていた。


そんな折、平和だった京の京都に暗黒の影が忍び寄ってこようとしていた。

京都から光が失われ、人々は恐怖に震えた。


そしてついに「雲南の艶鬼うんなんのえんき」と言う、顔色の悪い不気味な人物が現れ化け物を配下に従え、そして偉そうに言った。


「京の京都は今から我らが「落頭門らくとうもん」が支配下に置く、

よって、すみやかに朝廷はその身を退くように・・・」

「我らに逆らう者は、有無を言わさず抹消する」と脅迫して来た。


雲南の艶鬼うんなんのえんき」とはいったい何者。


このような事態に京都中の陰陽師や武将精鋭が集めらて「雲南の艶鬼うんなんのえんき」に挑んだが、ことごとく、奇妙な魔力を使う「雲南の艶鬼うんなんのえんき」にたちまち成敗された。


全精力を投入したが「雲南の艶鬼うんなんのえんき」には誰一人敵わなかった。

そこで白羽の矢が立ったのが、鞍馬で世捨て人をしていた「童子丸」だった。

京に暗雲が立ち込めていたことは童子丸も知っていた。


「京にはただならぬ気配が漂っておるな、蒼常坊ほうじょうぼう・・・」

「このまま放っておくと京都みやこは永遠に光が差さなくなりそうだな」


「山を降りるか?童子丸」


蒼常坊と呼ばれた天狗がそう言った。


「放ってはおけまい・・・このままだとこの鞍馬もいずれ暗雲に包まよう」


いくら、京の動向に興味がない童子丸でも、この状況危機を見過ごすことが

できず、天狗たちに見送られて鞍馬山を後にした。


京都みやこに降りた童子丸は朝廷に目通りした。


「頼みは童子丸、そのほうしかおらぬ・・・なんとかしてたも」


「御衣・・・退屈しのぎに悪を祓ってまいりましょう」


童子丸は「落頭門らくとうもん」の「雲南の艶鬼うんなんのえんき」の討伐を朝廷に誓った。


こうして「落頭門らくとうもん」一門と童子丸の戦いが始まった。



そしてここは2024年の現代の日本。


藤原 弥刀ふじわら みと」は、楓が丘高騰学園に通っている現役女子高生。歳は17歳。

弥刀には今、付き合ってる彼がいた。


彼の名前は「阿部 晴明あべ はるあき」同級生で同じクラス。


弥刀のほうから晴明に気持ちを告った。


その日は土曜にで、弥刀と晴明はデートで、橋の内公園で開催されている

グルメイベントに来ていた。

お互い興味を惹かれた食べ物を買って、公園のベンチに腰かけて弥刀は

自分の食べ物を晴明におすそ分けしようと


「はい、あ〜んして・・・」


そう言って晴明に食べさせようとした時だった。

急に体が動かなくなって金縛りのようになった。

体を動かそうとしてもどうにもならず、何がおきたのかも分からず、焦って

いると、誰か弥刀の名前を呼ぶ声がした。

晴明の声じゃない。


「誰?・・・誰なの?」


「弥刀?どうした?・・・誰?って、どうかしたの?」


晴明は弥刀の様子がおかしいので声をかけた。


でも弥刀には晴明の声は聞こえてなかった。

聞こえるのは、聞いたこともない誰かの声。


「聞いてくれ・・・とにかくお前に俺の依代になってもらった」

「弥刀・・・おまえは俺の子孫だ・・・おまえの中には蓮の華はずのか」と言う妖狐の血が流れている」

「だから、おまえも本来、先祖と同じ神通力が使えるはず・・・まだ覚醒していないだけだけどな・・・」

「おまえには魔を封じ揉める力が宿っているのだ」


「誰なんですか、なに言ってるの?・・・」


「分からんのも無理はなかろう、突然のことだしな・・・」


「ではこうしよう、お前の彼氏もかなりな霊力の持ち主だが、お前はお前の

彼氏よりはるかに霊力が高い、だから一時的にお前のほうに憑依した」

「だがお前は女だから、いつまでも依代にはしておけぬ・・・」

「俺は本来、憑依するのは男でないとこの世界では実態を保てないのだ」


「弥刀、お前の彼氏・・・「阿部 晴明あべ はるあき」は安倍晴明あべのせいめいの子孫であろう?」


「え?そうなの?・・・晴明はるあきが?・・・知らなかった」


「そうなのだ・・・お前の彼氏は安倍 晴明の血を引いておる」

「それゆえ、完全に憑依するには持ってこい」


「これから俺はお前の許可をもらって、おまえの彼氏に憑依するがよいか?」


「よいかって言われても・・・」


「それは、しばらくの間、晴明がお前の彼ではなくなり、俺が代わりにおまえの

彼氏になると言うことだ」

「まあ、どちらにしても俺はおまえの時代にいなくてはならぬゆえ、否応なしに

憑依させてもらうがな」


「ちょっと〜」


そう言うと弥刀みとは金縛りから解放された。


そして、急いで横に座っているはずの晴明はるあきを見た。


そしたらそこに侍の衣装・・・まるで平安時代の派手めの衣装を身につけた

晴明が座っていた。

髪や顔は晴明のまま、そして腰に刀を差していた。


「晴明・・・・」


晴明は弥刀のほうを振り向くと言った。


弥刀みと・・・俺は童子丸だよ」

「京の京都みやこよりこの時代にやってきた」

「おまえの彼氏には悪いが、俺の仕事のカタがつくまで体を借り受けるぞ」


「童子?・・・丸?」


完。

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童子丸。 猫野 尻尾 @amanotenshi

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