異世界に転生した主人公アビゲイル・セイラムの成長と葛藤を丁寧に描いた作品です。
主人公は前世の記憶を持ち、神的存在との邂逅を経てバジリスクの少女として転生します。自由に生きることを望みつつも、様々な困難や心の葛藤に直面する姿が印象的です。
魔族の価値観と倫理観に疑問を感じながらも、魔族として生きざるを得ない主人公の姿が描かれています。親友との真剣勝負や、人族の少女との触れ合いを通して、主人公なりの生き方を模索していく過程が丁寧に描写されています。
特に、人族の奴隷に対する主人公の内面描写からは、複雑な心情が伝わってきます。魔族でありながらも、奴隷という存在そのものに違和感を覚える葛藤が表現されています。
人族との対決シーンは印象的です。生きるために足掻く主人公の姿と、その強い意志が心を打ちます。善悪の価値観の違いに戸惑いつつも、自分らしく生きようとする主人公の生き様が描かれています。
ファンタジー世界ならではの設定や魔法、バトルシーンの描写も魅力的です。先の展開が気になる引きのある終わり方で、続きが期待されます。
異世界を舞台に自分の人生を力強く生きる少女の物語として、読後感の良い作品だと言えます。主人公の今後の成長と、辿り着く答えが楽しみです。