ささくれ勇者と魔物少女ポミ!!

亀岡たわ太

第1話 心のささくれ勇者ダン

 勇者ダンは魔王を倒した。その報告はサルッサ王国を歓喜に動かした。


 数年後勇者ダンは魔物少女ポミと共に始まりの町に居た。始まりの町のはずれ木こりの小屋の様な家で勇者ダンは魔物少女ポミと住んでいた。


 勇者ダンは黒髪ボサボサ頭、中肉中背の青年。16歳。異世界転生者。いつも他人のセリフにビクビクしている別名ささくれ勇者。魔王討伐後、サルッサ王国の王女を娶る話が一夜にしてフラれ王女に


「このささくれ野郎ッ!!!!」


 と、罵られた話は有名で勇者はそれからひっそりと暮らしている。


 魔物少女ポミ。サキュバス幼女体。黒いコウモリ翼とピンクのドレス。金髪、ロングヘアー。少女というより幼女12歳。勇者ダンの世話をしている。


 始まりの町の朝。大きな丘から日が昇る。


「ああ、朝が来た。」

「希望の朝ですねでし。ダン様。」


 勇者ダンは朝鬱気味に起きる。世話係のポミは朝食を作っていた。朝はブレークコーヒーに目玉焼き食パン。木こりの小屋で。男のロマン。


「オラーー!! 勇者入るかあ!!」

「勇者!! 出てこい!!」

「勇者!! ささくれ勇者!! ヒヒ!!」


 優雅な朝食に似合わない荒くれ者。ポミは気分を害した。始まりの町でも勇者は笑い者で近場の猛者達が毎日の様に来ては勇者に挑む。なんでもサルッサ王国の王女エメラルディアが頭に来てるらしく。


「勇者ダンを倒した者に王女エメラルディアは嫁ぎます。」という御触れを王国中に出してるらしい。勇者ダンはその話もトラウマになって悩んでいる。


 荒くれ者。


「おらーー!! 勇者ーー!! お前の母ちゃんデベソーー!!」


 勇者ダンは凹む。


「ああ…………。」

「下品でし。」

「ああ?」


 勇者は母の事を思う。勇者は転生前、母が居た。厳しい母だった。勇者は逆らえなかった。いつも厳しく怒られてた。その母をデベソと言われた。怒るとこである。でも勇者にはその感情は沸かなかった。トラウマである。忘れたい過去である。


 私、魔物少女ポミは勇者様に促す。

「しょうがないですねえ。勇者様、行きましょうでし。チャチャっと終わらせましょう!!」


「ああ。」


 勇者ダンと荒くれ者5人。木こり風家屋の前の原っぱです対決する。


 荒くれ者。


「おい、お前!! 勇者のクセにメンヘラだってな!!」


「なあ、ささくれ勇者!! ハハハ!」

「へへへ。」


「母ちゃんにでも泣きつけ!」


 勇者ダン。

(ああ、もう死にたい。)

 勇者ダンはメンヘラである。悪口を言われるとどんどん猫背になる。小さく小さくなる。


「へへへ。言ってた通りだぜ!! こりゃ弱いなあ。」

「やっちまおうぜ!!」


 5人のチンピラは一斉に勇者ダンに飛びかかる。勇者ダンは猫背で縮こまりながら鉄剣を縦に一振り。その速さは高速を超え、空間を斬る斬撃。


 ドン!!!!!!


 斬られるどころか斬られた空間ごと吹き飛ばされるチンピラ達。


「うわー!」「うわー!」「うわー!」「うわー!」「うわー!」


 チンピラ達はそのまま森の方は吹き飛ばされた。魔物ポミは思った。勇者の十八番。筋肉萎縮型斬撃。大抵の人間とモンスターは初見でやられる剣技。猫背で小さくなるのは構えである。小さくなるほど斬撃は重く早い。戦いは終わった。


 ポミは手を叩き気分を入れ替える。勇者様に言う。


「さあ、朝の運動に森に行きましょうでし、勇者様。」


「ああ…………。」


 魔物ポミは勇者を連れてピクニックに行く準備をし始めた。


 こうして勇者ダンと魔物少女ポミによるセカンドスローライフが始まる。

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