第40話虎熊童子④

 2035年6月10日。

 小香シャオシャンは、北大路の自宅を訪れていた。北大路と小香シャオシャンは星熊童子の事件から1週間後から時々2人で会うようになり、次第に北大路は小香シャオシャンに惹かれ、自分の思いを伝えるとすぐ恋仲になった。

小香シャオシャン、また酒呑童子の部下が殺害事件を起こしたって?」

「そうなんですよ…。私、いずれ戦う事になっちゃうんですけどね…」

 小香シャオシャンが俯くと北大路は小香シャオシャンを優しく抱きしめると

小香シャオシャン…俺は小香シャオシャンにはもう戦ってほしくない」

「どうしてですか!私しかアイツらを退治できる刀を持ってないんですよ!それに…」

 小香シャオシャンが興奮すると

「わかってる!」

 北大路は遮るように言った。

「本当は小香シャオシャンは優しくて真っ直ぐだからこんな辛い事をしているのを俺はこれ以上見てられないし…俺はお前を愛してるから」

「蓮さん…」

 小香シャオシャンがそう呟くとお互い見つめ合った。

「蓮さんの気持ちはわかりますが、私…どうしても人間と妖怪が手を取り合って平和に暮らせる世の中になってほしいんです。そのためには、酒呑童子達を退治するしかないんですよ」

 小香シャオシャンが下を向いた。

「それしか方法がないんです。現時点では」

「そうか…。わかった…。けど、死ぬなよ」

 北大路は小香シャオシャンを強く抱きしめた。


 翌日の2035年6月11日。

 悟雲が京都を訪ねて来た。

 小香シャオシャンに最近の様子を聞いて悟雲は岩手での惨劇で多くの人々や妖怪達が亡くなった事に驚きを隠せなかった。


 一方、虎熊童子は岩手から京都に移動した。なかなかターゲットの小香シャオシャンに遭遇できず、むしゃくしゃし、近くにあった牛若丸弁慶像を破壊した。それを目撃した者から通報を受けた警察官が数名来たが、虎熊童子は次々と警察官に大怪我を負わせるとすぐ逃げた。

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