結果はすでに見えていた。

くすのきさくら

孤独な戦い――多分

「……」

 

 ある一点を見ている俺。

 前の方からは何かを言っていそうな声がいつも通り聞こえて来ていたり。近くからはカリカリとペンを走らせる音などが聞こえて来ている。

 しかし、今の俺は周りのことより目の前の事の方が気になる。正確に言えば手元。

 ほんの少しだけぴょこんと顔をのぞかせているこいつが気になる。

 なお、これを引っ張ればすっきりするはずだ。綺麗にいけば気持ちいいかもしれない。

 こいつはいつも唐突にやってくる。ぴょこんと現れて、気にならなければならないのだが。一度気になってしまうとなんかずっと気になる。目に付いてしまう。

 特にがあるとなおさら。

 大したことではないので、ほっておけばいいことなのだが――でも俺は気になってしまう。

 というかほっておくとあとあと痛い思いをすることもある。これは経験者語るだ。血を見ることになる。そう血だ。大げさかもしれないが。これは本当の事。血を見ることになる。

 ほっておいてもいいのだが。ほっておくとそれはそれで何か起こる場合があると、こいつは厄介なやつと言えば厄介なやつなのだ。

 だから厄介事は早く片付けたい。

 なので、いつもなら引っ張ればプチっと切れることがほとんどなので引っ張りたい。けれど――引っ張ったら引っ張ったで残骸とでもいうのだろうか。後処理?が大変だったりもする。

 何もない時もあるが。軽い気持ちで引っ張ったら流血騒動になることもあるが。今の俺は後者になった方が嬉しい。この時間から逃れれる可能性が上がる。権利。『保健室行ってきます!』が発動できる。

 今日は気持ちよくスパッと言ってみよう。

 悩んでいる行動だ。何もしなければ何も起こらない。持ちよく引っ張ってみよう。この俺の引っ張りにすべてがかかっている。


 ――プチっ。


 結果自分との戦いには勝ったが――補習となった。

 

 これはただ嫌いな科目を受けている最中にささくれと戦っていた男の話である。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

結果はすでに見えていた。 くすのきさくら @yu24meteora

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ