第53話 悪しき者たち(5)



盗賊たちの屍を通り過ぎ

さらに森の奥へと進む

ジーク


(また、魔法がつかえなくなっている。)


先ほどまで知覚強化センシティブ

身体強化を使っていた

ジークだがまたしても

切れたことで

何かしらの妨害がされているんだと

改めて感じていた。


(もうすぐだ、頼む。

無事でいてくれ。みんな。)


先ほどまで発動していた

知覚強化センシティブを頼りに

森を走るジーク


ジークの走る速度が上がり

森を抜けた。



「みんな!!」

ジークの見た光景は

盗賊が200人ほどだろうか

倒れている中に

傷だらけで血だまりの中に倒れているジェイド

真っ白だった綺麗なローブは血で染められ

首を持ち上げられもがいているルミエラ

頭から血を流し倒れているエリスがいた。


「全く、次から次へと」

そうつぶやいた男は

ルミエラを乱雑に投げると

ジークの方へと向いた。


男の後ろには

盗賊たちが控えており

未だに200人ほどはいた。



(全員殺す。)

ジークの憎悪が増し

レヴィレスカの力を開放し

剣を展開するジーク


瞬時に盗賊たちを殺し

目の前の男へと視線を向ける。


「魔法は使えないはずなんだがな。」

ニヤッとした男はジークを見る。


「黙れ。外道が。口を開くな。

今殺してやる。」

ジークの殺意が膨れ上がる。


「それは無理だな。」

男は笑みを崩さず

どこからか取り出した

魔石の結晶のようなものを

手で握っていた。


嫌な予感がしたジークは

レヴィレスカの力を使い

剣を向かわせるが。


「また会えるといいな。

ジークフリード=アルカナイン。」

男の握っていた結晶は砕け

男の姿は消えたのだった。


「クソがぁぁ!!逃げるな!!卑怯者!!」

ジークは既に居ない男に叫ぶ。



「はぁはぁはぁ」

怒りに身を任せたことで

消耗していたジークは息を整るため

荒く呼吸をする。


『『ご主人様マスター

あの地面のやつ気持ち悪いよ』』

レヴィレスカに言われ

地面を見ると

結晶を包んでいる

杖のようなものが地面に刺さっていた。


ジークは確認しようと

杖を抜くと

その杖はぼろぼろになり

崩れ去ってしまった。


(魔法が使えるようになったのか?)

知覚強化センシティブを発動し

魔法が使えることを確認した

ジークは辺りを見渡し


(レヴィレスカ!全員を回復するために

力を貸してくれ!)


レヴィレスカを頼った。


『『盗賊たちの魂を使っちゃうけどいい?

ご主人様マスター』』


(何を使ってもいい頼む)

事は一刻を争う

ジークには、なりふり構ってはいられなかった。

そのためレヴィレスカの

気を割ける余裕はなかった。


『『(神の息吹パーフェクトヒール)』』


レヴィレスカを突き立てた場所を中心に

黄緑色と金色の粒子の奔流が引き起こる

ジェイドたちの様子を見ると

傷ついた服までも元に戻っており

全員が呼吸をしていることを確認した。


(時間遡行回復か、、、すごいな)

ジークとレヴィレスカの放った魔法に

自分でも驚いたジーク。


奔流は遠くの場所まで行き届いているのが

見えたためアリアたちも無事だろうと考えた。


『『ご主人様マスターいきなり力を

使いすぎちゃったから

負担がすごいことになるよ。』』

レヴィレスカに心配されるジーク。


(仕方がない。それに

全員ではないけど。

守れるだけのみんなは守った。)

レヴィレスカに話しかけ

腰を下ろそうとするジークだが


「ガハッ!」

急に負担がかかり

口から血の塊を吐き出したジーク。


「ガッ、ぐぅッぐ、がっ

ああああああああ!」


心臓が焼けるように熱く

尋常じゃない痛みが

ジークを襲う。


「うっぐっあああああああああ!!」

激しい痛みにより

ジークの意識は遠のいていき


ジークは倒れ込んでしまった。





ジークが倒れてから

少し遠方。鏡乱の回廊の

始まりの間では

ダンジョンコアが赤と青に薄く輝いていた。


『マスターの覚醒を確認。

乖離者としての条件を満たしました。

マスターを乖離者として申請。

審議します、、、、、、、。

否決。』


『マスターへ乖離者のを提案

審議します、、、、、、、。

可決。』


『レヴィーレとウィスカの統合を確認。

神剣の運用ではなく

乖離剣としての運用を申請。

審議します、、、、、、、。

否決。』


『乖離剣としての運用は

プレ、、、、、がミラ、、、、との

、、タ、、、、、の後

再度審議を提案します。

審議します、、、、、、、。

可決。』


『レヴィーレとウィスカの統合による

能力第一フェーズを確認。

マスターへのダメージが大きい為

封印運用を申請。

審議します、、、、、、、。

可決。』


『今後マスターは乖離者の能力を付与

レヴィーレとウィスカの統合は

現在は神剣として運用

能力第一フェーズ封印運用

以上でよろしいか。』


『是』『是』『是』『是』『是』『是』『是』『是』


『マスター。レヴィレスカを通じて

来てくれるよう祈っております。

どうかご無事で。』


ダンジョンコアの言葉は

始まりの間に響くのだった。





ところ変わり

遠方のある場所にて


「おい、話がちがうぞ。

どうなってるんだ。」

男は扉を開け

机に向かい作業している者に話しかける。


「ルインそれは、仕方ないよ。

この前もうまくいかなかったんだ。

アーティファクトを取り損ねたんだ。」


「そんなことは聞いていない。

情報は正確によこせ。」

ルインはいまだこちらを向かない者に言う。


「だから仕方ないんだって。

しょうがないでしょ?」


振り向いた者の顔は

少年のようで少女のようで

あどけなさが残る者だった。


「はぁ、わかった。ユベリエ

だから、その物騒なものをしまえ。」

そう言ってルインは扉を閉めるのだった。


「ジークフリード=アルカナイン

君は乖離者か?それともたまたま?」

机に向かい作業に戻るユベリエと呼ばれた者


「気になるなぁ。こんなに気になるなんて

もしかして恋というやつなのかな?」

ふふふと笑うユベリエだった。



いつもお読み下さりありがとうございます。

コメント返信お待ちください。


ただいま絶賛体調不良のため

投稿間隔がズレます。

(ストックはあるんですけど

全て中途半端なので)

初めてコロコロになってしまいました。

めちゃくちゃ辛いです。

お待ちいただけると幸いです。


よろしくお願いします。

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