【短編1208文字】【KAC20244】ささくれ

南都那氏(なんとなし) ニート風味

第1話 親不孝?


「何を見てるんですか? ○○さま♡」


「いや、風呂あがりのささくれチェック……」

 ぼく専属メイドロボのイブさんの質問に、ささくれチェックの片手間で答える。

 まわりには平均身長31.58センチ(人間換算157.9センチ)平均体重424グラム(人間換算53キログラム)のフェアリーが108匹、飛びまわっている。


「ささくれ、あったんですか?」

「あったよ?」


「ささくれが出来るのは親不孝者おやふこうものと言われていますが、親不孝おやふこうなんですか?」

「僕には、親不孝おやふこう概念がいねんはないよ?」


「何でですか? 究極きゅうきょく親孝行おやこうこうなんですか?」

「僕には、親孝行おやこうこう概念がいねんもないよ?」


「もしかして、試験管しけんかんベビーで親がいないとか?」

「いや母親は僕が小さい頃からガンで入退院を繰り返して最後は自殺して死んで、親孝行おやこうこうしようがないし。父親はほかの親が小学校入学初期の子供が勉強に興味を持つように勉強をさせようとする所を、『放任主義ほうにんしゅぎだ!』とかどや顔で言って僕が勉強嫌いになるのをずっと放置ほうち。中学生になって成績の順位を付けられるようになった所で、ゲームを禁止きんしテレビも禁止きんしそして殴ってなぐって勉強をさせようとすると言う。勉強嫌いを作るための見本みたいなことをされたから、もう親だとは思っていない。僕は、子育てに放任主義ほうにんしゅぎなんて主義しゅぎはないと思ってる。ただの虐待ぎゃくたいだ!」


「えい!」

 そうしている間も広げていた僕の指先のささくれに興味を持ったフェアリーが、僕のささくれを1つ引っこ抜いた。

「ちょっと! ささくれは引っこ抜いちゃダメ! 感染症かんせんしょうになっちゃうから、爪切りつめきりでとって!」

「ごめ~ん!」


「○○さま? 感染症かんせんしょうを気にするのなら、爪切りつめきり不潔ふけつです! キューティクルニッパーを使ってください! 薄い刃先うすいはさきが、ささくれの根元ねもとギリギリまでカットしてくれます!」

 と言って、キューティクルニッパーをわたされる。


「中略108匹「じゃあ○○くん、おねが~い」中略108匹」とフェアリーたち。

「え? 何で?」


「フェアリーの小さい手じゃ、人間用のキューティクルニッパー?を使えないでしょ?」

「いや、そこは魔法とか?」


「魔法なんて使えないよ!」

「え? 空飛んでるじゃん!」


「○○くん? 君はちょうが飛んでいるのを見て、『魔法を使って飛んでいるのだ!』とでもいうのかね? 現実見なよ!」


「いや、羽出したりしまったりしてたじゃん!」

「○○くん? 君はタンスに服をしまうのも、魔法だと言うのかね?」


「いや、タンスとフェアリーの羽は違うだろ?」

「とにかく! ささくれとって!」

「○○さま? フェアリーは、育つと世界樹にとって重要な存在になると言われています! 子育てに放任主義ほうにんしゅぎなんて主義しゅぎはなくて、ただの虐待ぎゃくたいなんですよね? ○○さまは、きっと有能なパパになれます! がんばってくださいね♡」


 僕は、108匹のフェアリーのささくれを取った後ぼくの指のささくれを取りつめを切っていた所フェアリーたちにせがまれて108匹のフェアリーの手足のつめも切った。


 それだけで、5時間就寝時間しゅうしんじかんが遅れた……。

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