その目にあるは"箱"しかし中身はわからず

グレースお姉さま

不思議な箱

 マリアーナ・ブラックウィッチの目の前、正確には先日住み始めた地球側の活動拠点。

 そのテーブルの上に"箱"が鎮座している。


「なんだこれは?」


 協力者からの差し入れであろうか?

 しかし、いつもは事前にその連絡が入る。

 連絡がきていないか念の為に携帯端末(これも協力者から渡された)を確認するも通知は何もない。


「ふむ、あやしいな……?」


 一応これでも世界征服を狙っている闇の世界からの侵略者、どこからその情報が漏れ、いつなんどき罠を仕掛けられてもおかしくはない。


「一応協力者に連絡を入れておくか」


 そう呟きつつ携帯端末を操作する。


(しかし今ではもうなんの違和感もなくこっちの世界にいるな……こんな調子で私達は大丈夫なんだろうか?)


 思いに耽りつつ、返事を待つ。


 しばらくすると慌てて打ったであろう返事が返ってきた。


『マリアーナさん、申し訳ありません、言伝を忘れていました! それは私達はが出会い、協力を約束した日から今日で1ヶ月の記念にと、用意した物です!! お口に合うかどうか分かりませんがどうぞ、召し上がって下さい』


 記念?1ヶ月?なるほど地球にはまだまだ私が知らない事が多いようだな……。

 そんな事を思いつつもおそるおそる"箱"を開けてみる。


 その中身は白く、しかし真っ赤な果実がところ狭しとちりばめられている。


「……これは、ケーキ?」


 思わず口走ってしまう。

 この活動拠点に住む日にも用意してくれていたがそれは三角形に切り分けられた1部だった。

 しかし、今目の前にあるのはまるまると大きな円をえがいている。


「この前のよりも量が多いな……?」


 これは流石に1人で食べくれそうにない。


(協力者に協力させるか)


 思うと同時に携帯端末を操作し、時間が出来次第私の部屋へ来るように通達した。


 さて、協力者が来るまで少し時間がある、お茶を入れる用意と取り合わける皿を用意して待つとするか。


 マリアーナはこうして、しっかりと地球の文化を学習していくのであった。

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その目にあるは"箱"しかし中身はわからず グレースお姉さま @Red_plum_sister

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