箱と角材の秘密

ヤミヲミルメ

箱と角材の秘密

 親愛なる我が読者よ。

 いろいろ省略してすまないが、私は因習島に伝わるわらべ歌の謎を解き、洞窟の奥に隠された祠にたどり着いた。


 祠は、屋根と土台を除けば1メートル四方程度の小さなものだ。

 キミと私が無理をすれば二人同時に中に入れそうだが、そうまでしなくても祠の外から頭と腕を突っ込むだけでじゅうぶん調べられるだろう。


 わらべ歌の暗号によれば祠には箱が納められており、箱の中には因習島の秘密にまつわる何かが隠されているはずだ。

 早速だが祠の扉を開けてみよう。

 観音開きで、鍵はついていない。


 む?

 祠の中に石の台座があり、その上に角材が一つ置かれているな。


 角材を手にとって調べてみよう。

 形状は台所で使うラップの箱に近い。


 箱と角材の違いは、中に物を入れられるかどうかだ。

 たたいて音を聞いてみよう。

 中に空洞はない。

 よってこれは箱ではない。


 では、わらべ歌にあった秘密の箱はどこだろう?

 祠の中をもっと調べよう。

 ありきたりな祭壇があるだけだな。

 壁をくまなく探っても、隠し扉のようなものはない。


 箱はどこかな?

 キミも探してみたまえ。

 私はもう見つけたぞ。

 ウソじゃないさ。

 私はウソはついていない。


 捜索タイム・スタート!



  ↓



  ↓



  ↓



  ↓



  ↓



 正解発表だ。

 見つけられたかな?






 祠の外を探してもムダだぞ。

 私は祠を見つけてすぐに祠の扉を開けており、祠の外は調べていないが、それでも箱は見つけている。






 角材が乗っていた台座が怪しい?

 最初に言ったとおり台座は台座だ。

 ウソじゃない。






 角材をもう一度調べてみる?

 疑り深いなぁ。

 探偵としては疑り深いのは悪くないが、そろそろ話を進めてもいいかな?



 まず、石の台座を祠の外に出そう。

 祭壇の飾りもだ。

 どうしてかって?

 壊さないためだよ。



 それから祠の扉を閉める。



 さっきからキミがもてあそんでいる角材を、扉の把手に通して、かんぬきのようにする。


 外からかんぬきをかける意味?

 中からオバケが出てこないようにするため。

 ではなく単に、扉がバタバタしたら力を入れにくいからだ。


 左右の扉の把手二つにかんぬき一本。

 何かの形状に似ていないかい? 





 引き出しの把手だ。

 さあ、引っぱるぞ! 力を貸してくれ!





 ぐぐぐぐぐ……っ





 よし! すっぽ抜けた!

 祠の外壁と内壁は、祠と箱で入れ子になっていたんだよ。


 見たまえ。内壁の裏側、つまり箱の外側に何か書かれている。

 これこそがこの因習島の秘密……


 こっ、これは!?

 まさか、そんな……






続く

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