第39話 伸びたけど……
奉行騒動から2日。わたしの演技で世論はこっちに味方し、奉行の数々の悪行が世に明かされていた。
ただねえ。
演技するの疲れてきました。
そうなんだよ、主役になってるの。私とここあが。
さすがにここあは録画映像で飛翔していたり、エネルギー速射砲とか付けていて身体が違うんですぐにアンドロイドってことがわかったんですが、私はまだバレてない。ここあはどんな人であっても私の妹なの! とか言っちゃうしなあ。
フィーの特殊能力はバレたんでフィーの中で寝るんですけど、もう毎回毎回ラウンジでアホクサーって馬鹿笑いされてますよ。
「私だってそろそろ止めたいんだけどさあ! 世論がけなげな娘って形作ったからねえ! 難しいんですよ! わかりますか? ここあちゃん!」
「ぎゃははははは、けなげな娘、にあわねー、ぎゃははははは」
「大変やけど、明日コボルトの件をお殿様に上申できるから。そうしたらこの城下町から去れるから。頑張ってぇ」
「がんばってぇ。ぎゃははははは」
大変ですよもう。殴りたいけどここはラウンジ、喧嘩は禁止されてますからね。
「はーい、おかーさんよ。ここあちゃんいるかしら? (΄◉◞౪◟◉`)? 」
唐突に現れるおかーさん。気配がないんだよね。コワイ。
「あ、実験ですね。わかりました」
といっておかーさんと一緒に研究室へ行こうとするここあちゃん。
「なんの実験してんの?」
「秘密。成功すれば少し負けなくなるな」
なんだ? インプラント挿せるようにでもなるんか?
「そういえばピンク色のインプラントがあったから買っておいたわぁ。ピンクは魔法だっけ」
「うおおおおおお!! 実験終わったら早速挿します! 魔法ですピンクは。ここ安いんですか?」
「電気がほとんど通ってないからねえ。インプラントなんてゴミ同然みたいねぇ。電気がなければ綺麗に光ることもないから」
「えっ、それじゃあここはお殿様がいて奉行、お代官、そういうのが仕切ってるマジで古風な都市ってわけですか」
「魔電池とエネルギー積層技術はあるけど、そうなるわねえ」
まじかーインプラントの屑とか余ってないかな。集めればインプラントになるからな。
もろもろ私がひいきにならない程度に買ってもらおっと。
手術室からここあちゃんが出てくる。なんか私をみてニヤニヤしているんだけど。
「なんかあったの?」
「いや、次回の実験でわかるさ。ふふふふ、はっはっはっは」
「なんだろ、強化でもするんかい? 私はインプラント取り付けに行ってくるよ。今回はピンクだぞー」
「出来たよー。起きて起きて ₍₍ ◝(•̀ㅂ•́)◟ ⁾⁾₍₍ ◝(•̀ㅂ•́)◟ ⁾⁾ 」
「おきたよー。どう? どう? 無事に付いた?」
「付いたよ! これであずきちゃんは回復魔法持ちだ!」
「やたー! 回復してまわろっと」
そうである。ピンクちゃんが読み込んだところ、『ヒール』と出てきたのである。悪者の方ではなさそうだ。
ピンクちゃんと小躍りして早速取り付けたってわけだ。
「ヒール!」
「ヒールヒール!」
「楽しそうですねえ、あずきさん」
「ルカさんも普通の魔法だし、熟練度も全く違うから全然敵いませんけどね。ただ、私でも回復できるってのは大きいですよ。いったんアタックチームが下がってルカさんに回復を求めなくてもいいんですから」
「わたくしの仕事が少なくなっちゃいますねえ」とルカさん。
「ボクの回復も出来ると良いんだけどな」とここあちゃん。
「まー、ここあちゃんは融合アンドロイドだからねえ。私見たく生体アンドロイドでも、ピンクちゃんみたく機械でもない。治せるかは実際に使ってみないとねえ」
「ボクが被弾するときって、グレネードの爆風と破片に巻き込まれるとか、巨人の熱を浴びて火傷するとか、そんなもんだぞ」
「ゴブリンごときにおくれを取ったことが不思議なくらいだよね」
「トラウマを呼び起こすなよ……よし、お風呂の時間だ、入るぞ、あずき」
「ほいほい」
なんで毎回一緒にお風呂とかシャワーに入っているのか全くわからないんだけど、一緒に入ってるんだよね。
「ふふふ」
今日は執拗におっぱいとお尻を揉むここあちゃん。百合だっけ? 私は博士以外なら誰でも良いし、できれば博士に処女を捧げるという惨劇になる前に誰かにあげちゃいたいんだけど。経験ないんですよぉ!
「なんか今日はねっとりしてるね」
「まあみてろ」
「じー」
「そういう意味じゃねえよアホ」
フィーの中フィーの中。落ち着け私。
ま、アンドロイド同士が一緒に入るのって楽しいんでいいんですけどね。うちら小さいし。
翌朝。お殿様に会うので朝シャンしてたらここあちゃんが入ってきた。
「どしたの? おっぱい揉みたくなった?」
「ふはははは、今夜実験が完了する。みとけよおっぱい魔人」
そして立ち去っていくここあちゃん。なんだろ?
お殿様との面会はつつがなく進行した。ルカさんが喋って終わりだからね。うちらは顔を上げることも出来ないのでタタミみてるだけ。
じー。そういう意味じゃねえよアホ。くっそー。
しかし、ルカさんいないとこういうときどうにもならないよね。さすが今代の創設者。
一番の目的である、コボルト討伐は了承されて、一軍を持って討伐するって。やったね。
お殿様との面会が終わったので、お城の部屋を借りて写真撮影。正式な和服を全員が着ているので華やかなのだ。
「はい、ポーズ。いいねーいい写真撮れてるよー」
PDAで撮るのでデータは転送すれば良い。らくちん。お城の人に手伝ってもらって何枚も撮った。
フィーの中へ帰って。
「それじゃあ、コボルト掃討作戦が始まりますので準備をしましょうか」
「はいです。あずきちゃん、また魔法のインプラント買ったわよ。ここは物価がすごく安いから出来るだけ購入するわね」
「やたー! お願いします!」
ピンクちゃんのところへいって。
「今回はなんですかー?」
「えーとね、魔法の無線かな。別名テレパシー。無線ってどっちも無線設備が同じくらい整ってないと相互通話できないでしょ。テレパシーはこっちがいいの持っていれば相互通話できるよ。ってインプラントの説明欄に書いてある。 (*´﹃`*) 」
「そんな書いてあるのあった?」
「普通はなんもなくて一か八かだねー。手に入る能力が書いてあるくらいはあるけど。これは珍しいね!!!! (΄・◞౪◟・)΄◉◞౪◟◉)´◔◞౪◟◔’) 」
そんなわけでうつ伏せになり麻酔マスク被されてグー。
「麻酔の時間ミスっちゃったよおおおおおおおおおおおおおおお 。゚(゚´ω‘゚)゚。 」
「大丈夫、起きたよ。なんでだ? 行動ログ見るか」
――――――――
行動ログ
融合脳補助開始。
麻酔が過剰に効いているためヒールを実行。
ヒールを実行。
ヒールを実行。
起床したことを確認。
融合脳停止。
以上
――――――――
「だってさ。私の脳とヒールに感謝してよね」
「ありがとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!! 。゚(゚´ω‘゚)゚。。゚(゚´ω‘゚)゚。。゚(゚´ω‘゚)゚。 」
ピンクちゃんのミスをカバーしてた。割と強い脳になってた。
ヒールも傷だけを治すわけじゃなさそうだ。
ケアとか、キュアとか、リジェネートとか、全部入っていて強いのかもしれない。
私と入れ違いにここあちゃんが入ってきた。今日は珍しくパジャマだ。
「ふふふ、今日で一強はおしまいだぞあずき」
「一強? わからん。まあ実験結果を楽しみにしておくよ」
小時間経過。
「なんでだああああああああああ!!」
フィーの亜空間中に響くここあちゃんの声。
なんだーと集まる恩呼知真のメンバー。
「なんだなんだ。ここあちゃんなにがあった」
「うーん、実験は完璧に成功しているのにねえ (΄◉◞౪◟◉;;) 」
「ん、ここあさん背が大きくなってますか? パジャマが小さいですよね」
「そうやねえ。ウチがジャストサイズを買ってるからねえ」
なんでも、巨大化実験を行っていたらしい。アンドロイドの遺伝子や遺伝子コード、内蔵されている設計図を書き換えて大きくなる実験。
「で、身長は140センチメートルまで伸びたけど、おっぱいは増えなかったと」
「戦闘向け多用途アンドロイドには要らない機能ってなってるんじゃないかしら?」
「実際、私は胸が揺れにくくなるアップグレードが入るまで揺れるから動きにくかったしなあ……。戦闘にはいらないですよね」
うんうんと頷くミカさん。ここあちゃんは地団駄を踏み。
「所長! もう一回だ、もう一回行おう! せめて身長はあずきに追いつく!」
「岩を結構使うから、余裕が出来たときね (´・ω・`) 」
「うわあああああああん!!!」
岩を一番使ったのは戦闘服やら装甲服、下着など着衣物の全てを置換で作ったときでしたとさ。目の前にコボルト戦があるので悠長に揃えてられない。
ここあちゃんの着衣物は全て戦闘用の特注品ですからね。
ま、身長が伸びるのは良いんでないかい? 銃がメインとはいえ物理系のリーチが伸びる。推進口も大きくなるからパワーも上がるんじゃないかな、10センチじゃ微妙だろうけど、20センチ伸びるのはおおきそうだ。もう一回やるってことはどこかのタイミングで身長150センチになるってことだもんね。
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