第16話 大罪人

「僕の弟子を痛めつけるのはやめていただこうか」


 右手に杖、左手に魔導書をもつ一人の冒険者がその言葉を発する


「その十字架の刻印、貴様が今も帝国の歴史に残る史上最悪の大罪人

 フォルティス・オリージニスか」


「大罪人か、酷いね僕はただ過度な税金で民を苦しめる貴族や王族を皆殺しにしただ   

けだ」


「善人面をしているが、貴様は関係のないものまで殺した。貴様の魔法一発で帝国の過半数が死んだというのに」  


「どっちみち君たちが他国との関係をないがしろにし、宣戦布告をせず戦争続けていたら帝国が地図か消える結果になっていた」


「たとえそうであろうとも、それを最後まで見届けるのが臣下の役目だ」


 やっぱり帝国とは話が通じない、時間の無駄だね早くアラン君を助けないと

 フォルティスはアランに防御結界をはる


「「……」」


 二人は同じタイミングで魔力を込める


「フレアブラスト」

「ウォーターボルテージ」


 互いの魔法が衝突し、魔法だと疑いたくなる威力を出し、衝突したときに生じた風圧で森の木々たちが葉を鳴らし、フォルティスの魔導書がパラパラと音を立てめくられていく

 

「テンペスト」

「ライトニングフレア」


 フォルティスの複合魔法に宮廷魔法使いの上位魔法が再び衝突する


「これ以上戦っても意味がないね」


「大罪人もやっと分かったか、今回はその子供の首を差し出せば貴様を見なかったことに」


「勘違いするな」


「なに」


「お前みたいな雑魚にこれ以上戦う価値がないって言ってるんだよ」


 フォルティスの雰囲気が一気に変わる


「スラッシュ」

「ウォール」


 フォルティスが放った斬撃魔法を、防御魔法で防ごうとするが、スラッシュは豆腐を切るかのように真っ二つに宮廷魔法使いどころか湖をも割った


「さてと、アラン君を回収して帰らないとな」



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