第13話 襲撃

「さてと、来るのを待っても俺が不利になるだけ…」


 位置バレするかも…ここは、野郎どもが俺の位置を知っている前提で攻撃するべきか、魔法を打つ練習ばっかでまだ人に向かって魔法も使ったことないから調節が難しいが、やらなきゃ殺られる


 ウォーターボール、ただそう念じるだけ…百斂のように、もっと…圧縮して

対象に向かって…


「発射」


 音もなく、圧縮された水滴ほど小さくなった水球が発射される


「どうした隊長…っ!」


 隊長の脇腹に傷…もしや…いや、もしかしなくとも俺の顔にかすったあの攻撃を受けたのか


「C…さっき当たった攻撃、見えたか」


「ああ、ほんの一瞬だったが見えたぜ。あれは水滴だ、しかも圧縮された」


「こそこそ近づくのはやめだ、このまま襲撃して打ち取るぞ」


「おいおい、俺たちの位置がバレてるのに今更攻めてどうするんだよ」


 まったく、うちの隊長様は判断が遅いから困ったもんだ、だけど実力は確かなんだが人の上に立つ力があるとは思えない、上はとことん馬鹿しかいないのか


「考えなしで攻めるわけではない、これを使う」




 

 水の圧縮を少しずつ弱くして…ここで落下


「ん、この水は…」





「さてと、あとは時間を稼ぎつつ森から出るだけ」


 だけどさっきから俺を背後から見てるやつが二人いる、さっきのウォーターボール     で襲撃に気付いているはわかっているはず、ならあいつらの役目は俺を逃がさないこと


「そろそろ出てきたらどうだ、さっきから俺を監視だとかいうストーカーじみたことしてないでさ」


 こいつらは暗殺を得意とする連中だろう、魔力を隠すのがうまいけど強くはない、なんとなくだが…師匠と比べるとそこらへんにいるアリとかにしか思えない

 意地でも俺に視認されるかはないかだったら

 こっちから仕掛けるまで





「貴様、さっきから息子の心配ばっかで全力で戦えていないだろう」


「それを言うなら貴様も仲間が時間をかけすぎているから心配なのではないか」


 こいつらはレステル男爵に用意してもらった自作自演の兵ではない、剣の流派がこの国のものではない…もしや


「貴様、帝国の人間か」


「何故そう思う」


「剣の流派が私の推測が正しいのであるなら、それは帝都軍神流、帝国の剣士がよく使う有名なものだ、ただ貴様の場合、王都アレス流を織り交ぜているようだがベースは帝都軍神流だ」


「ご名答、私は帝国の人間だ、それがどうかしたのか、脳筋」


「貴様の狙いはなんだ、なぜ王国の辺境の地にいる」


 相手が何を考えているのかがわからない以上警戒を緩めてはいけない、少しでもアランに気を散らせば自分の首が飛びかねない


「こっちもきたくて来たわけじゃない、大賢者のって、危うく情報を漏らすとこだった」


 いや、大賢者様のことを言ったのだから漏らしているようなものだな

 っと考えている隙にダラスは距離を詰め切りかかるが


「ファイアウォール」


 その呪文を唱えた瞬間ダラスに炎の壁が現れる


「貴様、魔法使いだったのか」


「誰も剣士と言ってないだろ、少し眠ってろ、エレクトニクス」


 ダラスの首に電気が流れ、そのまま倒れ動かなくなった


「ダラス、貴様とはここで戦わないはずだったのだが、大賢者様の魔法も完璧ではないということか。まあいい、森の湖へ行くとしよう」





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