第2話

「なぁ、お前バイトってしてる?」


「いや?してない。一人暮らしだけど親からもらってる」


「じゃ、じゃあ俺のとこくる?」


「え、いいのか?」


「ああ。すぐ着くからついてこい」


 俺もバイト始めようかなと思っていたんだ。


 ついたところは飲食店。

 それも結構高級なところだ。


 ココでバイト…


「おい、碧。目がキラッキラになってるぞ」


「ああ。ごめん。俺ココで働きたいなって思って」


「じゃあ俺もココにしようかな」


「ここで働いてたんじゃなかったのか?」


「サボってたんで」


「ダメじゃん…」


 ダメダメだ。

 サボってたら給料もらえないじゃないか…


「バイトよりも自分の時間が欲しかったからな。酒田を研究する時間が欲しかったから…」


「何か言ったか?」


「いや?なんも」


 バリバリ聞こえてたー。

 こういったほうがきっと中村も安心できるだろう。


「そういえば酒田は魔法王者選手権魔法対決は出るのか?」


 王者選手権技術対決とは、

 ・騎士科

 ・魔法科

 ・守備科

 ・情報科


 この四種目から1人づつ選ばれ、4人のパーティーとなり、世界を旅する。

 魔王などがいるわけではない。ただ、魔物はいるので、万が一のために強い者を育てておくに越したことはない。


 実際、魔物戦争も起きたことがある。


「俺は参加する。勿論魔法科だ」


「俺は騎士科かな」


碧は最初紹介した通り、魔法が得意だ。


中村は、剣で世界大会にも出ている強者だった。


「じゃ、同じパーティーになれるように、頑張ろうな」


「碧がここで働いてくれるって聞いたからには俺も真面目に働こっかな」


「それがいい。あとで俺練習行かなきゃなんねーから。じゃ」


「ああ。じゃ」


それからというもの、俺は鍛錬に鍛錬を重ね、

魔法レベルが10まで上がった。


沢山の上級魔法も覚えた。

自分の考えた魔法もある。

それだけのことを支えてくれた中村に感謝だ。


「俺も剣の練習になるからありがたいよ」


持つべきは友達だな!


ボッチ卒業だ。

バイトも結構いい感じだから、趣味のために500円貯金をしている。


王者選手権技術対決までもあと3カ月。


日にちが近づくごとに緊張が大きくなっていく。


あーどうしよう。

中村も今日は来れないって言ってたし、ヒマ…


鍛錬ももうやってしまった。

これ以上やると体が疲れすぎてしまうと中村から厳しく注意された。


腹減ったな…

よし。ハンバーグ、久しぶりに作るか。


俺は結構料理が得意なんだ。


これをこうしてこれをこう。

こうすれば…


焦げ焦げのハンバーグの完成!


何故だっ!

何故最初に『焦げ焦げ』がつく!

何故だっ!


でも味は美味しい。

何なんだろう。


俺の夢は、好きな相手と一緒に幸せにご飯を食べる事である。

それも俺が作った料理で。


その夢を叶えるまであと数日なことを、碧はまだ知らない…

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