異世界での小さな青春と友情の物語

りんご

第1話

あれは、人生で一番楽しかった青春だった。

あの頃の事を話そう。

一番最初から。





俺の名前は春先はるさき あお。高校生だ。


この魔法界では結構優秀な方だ。

この年で上級魔法を次々に使いこなし、勇者候補の山崎やまざき さくにも勝った。


そこから俺はめちゃめちゃ調子が良くて、高校の難問も楽々クリアしている。


だがそんな俺には弱点というか欠点がある。


俺結構イケメンだぞ?


おまけに中学時代の友達も彼女出来たーってさってっちまった。


あーつまんねーなー。


「よっ、酒田さかた!」


「誰ですか?それに俺は酒田って名前じゃありません。碧です」


「もー。俺のこと覚えてない?前世で『来世でも忘れない』って約束したじゃん」


「は?覚えてねーし前世とか来世とか信じねーから」


「じゃあ、こうすれば思い出す?」


彼は眼鏡をとった。

あっ…


「中村…?」


中村とは、俺の前世での大親友。


同じ日に生まれ、双子のような存在。

中村とは、確かに来世でも忘れないという約束を交わした。


「覚えてくれてたんだ。俺はお前の顏は絶対に忘れねーからな」


「俺も、眼鏡外したらよくわかったわ。お前は何高校に入るんだ?」


「中高一貫学校」


「へー。マジでそういう学校あるんだ…」


「あるにきまってるだろ」


中村とは、前世の大親友…

と思っていたのは碧だけらしい。


中村は…


~中村サイド~


アーヤバイ…

あそこにめっちゃ見かけたことある人がいるって思ってたんだけど…

あれ、酒田じゃね?


酒田には、ずっと憧れていた。

何でも物事をハッキリ決めて、

決めたことは必ずやり遂げるまで手放さない。


そんな酒田に俺は、

というより、恋を


叶わぬ恋なのはわかっている。

でも、好きという気持ちが抑えられなかった。


生まれ変わった今でも酒田の事を思い続けている。


そこで、運命の出会いをしてしまったのだ。


声をかけても、思い出してくれないだろうな…


そんなこんなでスルー3回目。


3度目の正直、俺、今日こそは!


結果、2度あることは3度ある。

結局声をかけられなかった…


4度目の正直だ!

と、声をかけたところ、


「中村…?」


ハイ可愛い。

柴犬みたいな顔しやがってこの野郎!

何なんだよ…

あーダメだ。

好きって気持ちがあふれちゃう…


好き好き好き好き好き好き好き好き…


「どうした?顔赤いぞ?」


「あぁ。何でもない。大丈夫だ」


こうして、俺たちの青春は始まったのであった…

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