第11話 私には物語が必要だった

 カクヨムユーザーの皆様のほとんどは、「物語を求めている人」なのだと思います。


 世の中には、物語を必要としない人もいるのです。


 私の家族がそうです。本はもとより、漫画、雑誌、新聞など、およそ読むという習慣がありません。

 TVも、アニメ、ドラマ、映画、ドキュメンタリーなどは一切、観ません。観るのは、バラエティ、情報番組、ニュースのみです。

 きっと物語が無くても、実生活が完結しているのでしょう。


 ——私には物語が必要でした。もちろん今も必要としています。本だけでなく、コミックも映像も音楽も。


 子供の頃の私は、生きづらかったのだと思います。


 いじめや虐待を受けていたわけではありません。引きこもりでもなく、毎日、学校から帰れば、夕飯までの間を一緒に遊ぶ友達もいました。


 でも、私は早生まれで小さくて、

 勉強はそこそこ出来たけど、それ以外の運動や、積極性、社交性など、ことを求められると、難しいことが多かったです。

 給食を食べること、自転車に乗れるようになることも、人より遅くて時間がかかりました。


 明るく元気ハツラツで、ハキハキ受け答えできる、そういう子供らしい子供ではなくて、自己肯定感の低い子供だったのです。

 どこか満たされない淋しい子供でした。



 家では「お姉ちゃんなんだから***しなさい」「女の子なんだから**」「早く**して」などとよく言われ、息が詰まるようで、苦しく感じていたのかもしれません。

(注:決して、愛されていなかったわけではありません)


 物語の世界は救いでした。


 ひとたび本を開けば、そこには想像を超えた無限の世界が広がっていて、何処にでも行くことができ、何者にもなれる……。

 ここではない何処か遠くへ。


 本を読むことは疑似体験ですが、想像力を拡げ、心を豊かにしてくれるもの、と信じています。


 今では物語に救いを求める必要は無くなりました。


「大丈夫だよ、ちゃんと大人になれるからね。待ってるよ」

 現在いまなら、そっと背中を撫でながら、あのときの小さい私にそう言ってあげられるのですが。


 物語は、夢と希望と勇気と、生きる力を与えてくれるもの。

 カクヨムでたくさんの物語に出会えるようになったのは、とても嬉しいことです。


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