羽休め パート1

!~よたみてい書

第1話

 私は帰路についていた。

腕時計で現在時刻を確認すると19時だということを知らせていた。

ほとんどの人が夕ご飯の時間を過ごしているだろう時間だ。

通りすがりの飲食店からは、吸い寄せられそうな美味しい匂いが漂ってきている。

思わず私もその店群に立ち寄りたくなる。

飲食店内は、誘惑に抗えなかった人たちが意外にも多いのか、客が多く入っていた。

あの様子ならしばらくは事業が安泰だろう。


 桃郷とうきょうの町中の景観も、暗い闇で覆われていて各所の照明が自己主張している。

彼らの活躍のおかげもあって、私たちも安心して夜道を歩けていた。

私と同じ状況の人が多いのか、寄り道せずに街路を突き進んでいく人とすれ違う。


 10分以上は歩き続きているので、私の体が熱を発している。

だけど少し冷たい外の空気が私の熱を冷ますことに協力している。

私の熱がこもりやすい両翼も、外気の冷たさに心地よさを感じていた。




 私は無事に自分が住んでいるマンション、『鳥の寝床』に到着した。

私はエントランス前の横に設置されている郵便箱前に移動する。

そして郵便箱のふたを開けて中を確認する。

いつもと同じで、どこかの企業の宣伝チラシが沢山詰め込まれていた。

仕事で疲れているので、取り出すのを明日にしようと蓋を閉じようとする。

その時、小さな紙が目に入ってきた。

私はそれには見覚えがある。

宅配業者が宅配ボックスに荷物を入れ終えたことを知らせるものだ。

気づけて良かった。

だけど一体誰が私に荷物を届けようとしたのだろう。

それを確認するためにも、宅配ボックスの前に移動する。


 宅配ボックスの暗証番号は、先ほどの紙に書かれていたので、そのままダイヤルを回して数字を合わせていく。

宅配ボックスを開けると、段ボール箱が置いてあった。

両手で抱えられる大きさ。

頑張れば脇に抱えて運べそうだ。

私は両手で段ボール箱を取り出し、送り主を確認する。

お母さんからだった。


 私は中に何が入っているのかを期待をしながら、自室へ足を運ぶのだった。

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