【KAC20243】ジュエリーボックスとびっくり箱。

雪の香り。

第1話 北海道に降り立つ。

北海道の地に降り立った瞬間、小学生の娘が歓声を上げた。


「わぁ、まわりがキラキラしてる!」


太陽に照らされる雪のような結晶は、いわゆるダイヤモンドダストだ。


「おじいちゃんとおばあちゃんは、こんなに綺麗なところに住んでるんだね!」


コロナの影響でここ数年旦那の実家にはあいさつに来れていなかった。


娘も旦那の両親(娘にとっては祖父母)には小さなころに会っているが、記憶はないだろう。


義両親も、写真は送っているが実際に娘と対面するのは初めてだから、成長ぶりに驚くかもしれない。


娘とタクシーに乗り義両親の元へ向かう。

旦那は仕事なので後から来るはずだ。


数十分後、到着した。

娘がインターホンを押したがっていたので任せる。


「おじーちゃん、おばーちゃん、来たよ!」


玄関はすぐに開いた。


「よう来たよう来た。おお、でっかくなったなぁ」

「寒かったでしょ。早くお入りなさい」


私と娘はあいさつのあと上着をハンガーにかけさせてもらい、手洗いうがいを済ませて勧められるままこたつに入った。


娘が興奮した様子で「お外がね、すっごく綺麗だったの! キラキラ―って! うちの近所にもキラキラの雪降ると良いのに!」と伝える。


義父が「ダイヤモンドダストは条件がそろわないとダメだからねぇ。ここでは見れても、関東ではちょっと無理かもしれんなぁ」と少々難しそうな表情でつぶやく。


私は娘はガッカリするのではないかと思っていたが。


「ダイヤモンドダスト?! あのキラキラダイヤだったの?!」


あ、条件がどうとか関東では無理とかの説明まったく聞いてなかったな、と我が娘のお耳の性能に私の方がガッカリだ。


娘は「ふぁ~」とあくびだか感嘆だかわからない息を吐き。


「北海道って神様のジュエリーボックスだったんだねぇ」


なんて言葉をこぼした。


神様のジュエリーボックスとは、なんともファンタジックで素敵な発想だ。


義父は「ジュエリーボックスってなんだ?」と首を傾げ、義母が苦笑しながら「あなた流に通訳すると、宝箱ね」と教える。


義父は「北海道は宝箱か! そりゃいいな!」と豪快にハッハッハ!と笑った。


私にとっては、ジュエリーボックス発言以外にも日々驚きの発想をしてくる娘は「びっくり箱」のようなものである。


今日はこれまでたまった「びっくり箱」のエピソードを義両親に思いっきり話して楽しんでもらおうと、まずどれから伝えようかなとふふふっと笑ってしまうのであった。




おわり

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