ブラックリスト

緋色 刹那

📦🕴️

 妙な箱が届いた。差出人は不明。

 開けるか迷っていると、「俺(私)も持っている」と友人達から連絡がきた。

 友人の一人が解析したところ、中身は"爆弾"で、箱を開くと爆発する仕組みになっているらしい。しかも、他のブラックリストの手にも渡っているそうだ。

「送り返すか?」

「せっかくだし、有効活用しましょ」


 後日、数人のプレイヤーがロストした。ブラックリスト狩りをしていた連中で、友人が誤送した"爆弾"入りの箱を開けてしまったらしい。

 運営は爆弾を作ったプレイヤーを特定、ブラックリスト入りさせた。

 ブラックリストに入ったプレイヤーは懸賞金をかけられる。ブラックリストの排除が目的なら、どんな違法行為も許されるため、追われる側にとっては地獄だ。

 もっとも、は狩られるようなヘマはしない。互いの利益のため、密かに協力してきた。爆弾を作った犯人・爆弾魔も、さっそく仲間に加えた。

 俺達は自由にゲームを楽しみたいだけ。それの何が悪い?


 妙な箱が届いた。差出人は不明。今度はゲームじゃない、現実だ。

 箱は爆弾魔を含め、ブラックリスト全員に届いていた。

『誰よ! こんなイタズラするのは?!』

『まさか爆弾か?』

『警察呼ぶ?』

 困惑する俺達に、爆弾魔が笑った。

『ウケる。最強のブラックリストも、現実じゃただの一般人なんだな』

『は? お前もだろ』


『俺は本物だよ』


 沈黙。

 本物ってなんだ? 現実でもブラックリストに入ってるってことか?

『ぶっちゃけ、箱送ったの俺なんだよね。中身はあらゆるデータがロストする爆弾。つまり、本物ってこと』

『普通に犯罪じゃん!』

『へーきへーき。どんな手段でも許されるって、運営が言ってたっしょ? 言っとくけど、お前ら全員リアルタイムで監視してるから。少しでも怪しい動きしたら、ドカンだぞ』

 ……イカれてる。コイツはゲームと現実の区別がついてない。

 どうやら俺達は、とんでもない相手にケンカを売ってしまったらしい。


(了)

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