第11話冒険者増員局




9日目。


コンビニの駐車場に黒いワンボックスが停まっているぞ。

あれって、もしかして・・・・・・


見た目は普通。

しかし、なんだか不釣合いな気がするぞ。

なんでだ。


俺は、ピンッときた。

この窓ガラスは、特殊防弾ガラスだ。

日本の防弾ガラスは、お世辞にも良い物ではない。


しかしこの防弾ガラスは、第4世代の最新特殊ハイテクコーティングに違いない。

日々、ノートパソコンで世界の情報を見続けた。


俺の眼力に間違いない。



あ!後部ドアが急に開いた。


そして女性2人が出てきた。

服装は、アメリカスワットが着る物々しいものだ。


コンビニにからは、黒を強調したスーツ男2人と村長が出てきた。


「今日、同行することになった三山と彼女が高橋、どうかよろしく」


28歳ぐらいの歳のように見えるな・・・


名刺を出してきた。

名刺なんかもらったことなんか無いぞ。

ああ、両手で受取るのルールぐらい知ってる。


なので工具箱を置いて、両手を差出して受取った。


-   -   -   -   -


冒険者ギルド

東京都千代田区丸の内一丁目2 

TEL55-1234-0012


ダンジョン冒険者増員局 局長

    

    三山  幸

    Miyama Sati


-   -   -   -   -



ダンジョン冒険者増員局って最近なって出来た局だ。


あまりにも魔石の買取り量が少ないと企業からクレームで出来た増員局。


目的は、冒険者を増やす。

その1点だ。


ダンジョウ高校も、ここの発案だったハズ。

法案も係わってるかも・・・

そんな局が・・・こんな田舎に何のようなんだ。



「あ!ダンジョウへの探索手続きをしてくるので待ってくれますか」


「ええ、どうぞ」


あんな人と行くのか、むさ苦しいおっさんよりマシだ。

コンビニで手続きをして弁当3つとお茶を4本買ってリュックの中へ。


コンビニを出ると三山さんは、大小の日本刀を腰差しをしているぞ。

マジかよ。

右腰には、ベレッタ92FS。


一方の高橋さんは、89式5.56mm小銃で銃剣まで装着。

接近戦でもOKですよと言ってるようなものだ。


それにしても89式5.56mm小銃の実物を見れるなんて思いもしなかった。

ああ、欲しい。



「行きますよ」


我に返って俺は、工具箱も持ってダンジョン出入り口で鍵で開けて入る。




安全エリアでモンスターカードを内ボケットから出す。


「ちょっと待ってください。こっちの準備があるので」


「高橋、ベストポジションで撮るのよ」


「局長、了解しました」


胸に手をあてて何かしてるぞ。

もしかしてボディカメラか三山さんも同じように触ってるぞ。

アメリカの警官が違法な捜査をしないか検証する奴だな。


「絵柄が見えるように、倒し気味です・・・はい、今の角度でお願いします」


手に力が入って疲れるんだけど我慢する。


「局長、あの絵柄おかしいです」


「ちょっと見せてください」


え!これって手渡すしかないのか・・・

三山さんが手を出してきたぞ。


シブシブ手渡す。


「モンスターカードに異変あり。詳細は分からない。本来こん棒を持っているゴブリンがヌンチャクとトンファーらしき武器を所持」


ああ、あれって説明してるんだ。



「はい、ゴブリンを出してください」


「召喚」


ゴブとリンが召喚された。


2人の驚きは、凄かった。


「そんな!」


「あれってオークからドロップする骨ですよ。わたし、ドロップした経験があります」


もうゴンに近づいたり周りをグッルッと回ったりしている。

あああ、近い近いよ。

ゴンが嫌がってる。あんな顔のゴンは初めてだ。

9日間しか召喚してなかった。


「ギャー」


あああ、リンの拒絶反応だ。

リンのも近づき過ぎなんだよ。


まあ、あの2人は、何をやってんだか。



工具箱を開けて「リン、ヌンチャクを貸してごらん」


俺に近づき素直に手渡すリン。


ああ、やっぱりロープがすれて2、3日で切れそうだ。

なのでナイフで切って数種類のクサリを合わせてゆく。

この細さのクサリが1番いい。


むちゃな動きでも切れないだろう。


切ったロープの長さをクサリの長さに合わせて、電気ノコギリで「ガガガガガ」と切る。

そして、用意してた太いリングを切れ目をペンチで広げる。

え!広がらない。これって無理っぽい。


え!リンが「ギ、ギャー」と言ってきた。


なんか貸せって言ってるみたいだ。

なのでリングを手渡した。


ギュッとねじって広げやがった。

なので残りのリングも手渡した。


そしてヌンチャクの穴にリングを通してクサリも通す。


「リン、ヌンチャクの2つのリングを元に戻してくれ。クサリを外さないようにな」


「ギャー、ギャー」


簡単に戻した。

そして「ブンブン」と振り回す。

左に交差して左に持ち替える。

今度は右に交差して右に持ち替える。


「どうだリン、使い勝手はいいか」


「ギャー、ギャー」



「あの・・・これって君が製作したの」


「はい、作りました」


「そうなの」


「それでは行きますか」


「そうね後で色々聞くけどいい」


「はい、なんでも聞いてください」


拒否出来ないのは、すでに分かってるから素直に従いますよ。




ある冒険者がドロップした品を買取りに出した。

見たこともない品で有用性が認められると判断した職員。


「どのモンスターからドロップしました」と聞いたらしい。


「教えられません」と冒険者は、拒否。


大勢の職員が代わりながら8時間も質問攻めにあわせる。

それも、やんわりと丁寧語ていねいごで話す。


ぶち切れた冒険者は、手をだした。


駆けつけた警察官に逮捕。


裁判で執行猶予6ヶ月で指定したダンジョンのみしか探索できない。

そんな命令が下された。


それは有名な話だ。

逆らったら痛い目に合う典型的な事例だ。


冒険者あるあるなんだ。

それ以降は、冒険者は反抗の素振りもみせない。



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