第10話戦い5



8日目。


地下1階通路でリンがヌンチャクを振りかぶる。


ゴブリンは、たまらずこん棒で受止める。

しかし、受止めたのは持ってるヌンチャクだ。

ロープに繋がったヌンチャクは、そのまま回り込んでゴブリンの手を強打。

たまらず、こん棒を手放す。


そんなスキを許すハズがない。

ヌンチャクを回転させながら持ち替えて、頭を強打する。

崩れ落ちるゴブリン。


そのまま消えてしまう。


「よくやったリン」


「ギャー、ギャー」




そんなリンの活躍は、階段まで続いた。

そして地下2階へ下りた。


2階でも順調だ。


「ゴブとリンは、互いの動きを気をつけなが戦かうんだぞ。決して互いの攻撃範囲に入るなよ」


「ギャー、ギャー」


「ギャー、ギャー」


いくら5メートル幅の通路でも互いの武器が接触したらヤバイ。

下手した同士討ちになってしまう。


後ろから見ている俺は、ヒヤヒヤものだ。


それにしても2階でも瞬殺だ。




地下3階も心配なくゴブとリンが戦っている。


ゴブの骨トンファーが「ゴン」と一撃をくわえる。


負けじとヌンチャクが「ブン」と空気を裂きながら頭を強打。


俺のコンパウンドボウでの攻撃も1回しか出来ない。

それ程2人の動きが速い。


なんかライバル意識が芽生えたようだ。



スマホを確認して「次は右だ」と指示をだす。

放っておくとゴブリンが多い方へ行ってしまうからだ。


地下4階への最短コースで急ぐ。

もうマラソン選手になったようにダンジョンを走る。


運動不足の俺が、こんなに走れるとは・・・

1週間前まで部屋で引きこもっていた俺とは思えない。




とうとう階段だ。


「ゴブが先頭だ」


防御出来るゴブが適任だろう。

俺にとって4階は、未知の領域だから仕方ない。


リンと一緒に階段を下りる。




ゴブリン集団を見つけたぞ。


やっぱ弓を使うゴブリンが2人も居るぞ。

合わせて数は9人。


やっかいな戦いになるだろう。



「矢が飛んでくるから気をつけろ」


「ギャー、ギャー」


「ギャー、ギャー」


通路幅も7メートルと広がっている。

数で負けてるので不利かも。

弱音を吐いても仕方ない。


弓なんて卑怯だ。

自分自身も使ってるから分かる。


ダメだ余計なことを考えるな。

コンパウンドボウを引いて弓使いを狙う。

あ、隠れやがった。


ならば障害物を消すだけだ。

槍持ちの頭に矢を放つ。

結果を見ないで矢筒から矢を取る。


案の定、2人の弓使いが俺を狙って矢を放つ。


その矢をリンがヌンチャクで叩き落とす。

余計なマネを、隠れた俺はバカみたいだぞ。


ゴブもいつの間にか4人を倒している。


弓使いは、焦りだす。


しかし、もう遅い。

リンとゴブが突っ込んでいる。


ああ、2人が邪魔で放てないぞ。


ああ、ボコ殴りだ。


リン、その決めポーズいらないって、こっちが恥ずかしくなるから止めてくれ。

なんで、あえてこっちを見る。


もう勝手にしろよ。



何回も戦い続けた。

弁当も食ったし帰るか「そろそろ帰るぞ」


「ギャー」


「ギャー」


嫌だと言っても「帰るぞ。もう決まったことだ」


あきらめたようで引き返して来た。

やっぱゴブリンは、命令には逆らえない。




ちょっと時間配分を間違えたようだ。

6時閉店ギリギリにコンビニに入る。


「やけに遅かったね」


あれ!おばさんの隣に村長がいるぞ。

なんで・・・村長が・・・基本、店番なんかしないで役場に居るハズだ。


前に居たのは、気がかりで店番してたハズなのに、なんで。


「ああ、君に用事があって来たんだよ。それより買取りを済ませたらどうかね」


なのでカウンターにリュックの魔石をこれでもかと置いてゆく。


おばさんも数を数えるのに必死だ。

都会のダンジョン支部みたいに『自動数え君』なんて機械なんて置いてない。

あれって50万もするらしい。


魔石234個×300円=70200円


「7万円の現金なんかないから振込みで良いかい」


「それで、いいです」


お客は、俺と村人だけだ。

そんなに買う客なんて、ここのコンビニにはいない。


俺用に残った弁当も取ってカウンターに置いた。


「ピッ」と読み取る。


ミックス弁当(税込568円)


そんな間に、村長が買取り依頼の申請をしてた。

そして俺の冒険者カードも読ませている。


おばさんの動きも速い。

レジの金を持ってバックヤードへ引っ込んだ。

え!それって俺と村長の2人にさせたいって意味。


「どうやら冒険者ギルドは、君に興味を持ったみたいなんだ。明日のダンジョン入りに同行したいと言ってきている。心配しなくてもいいぞ・・・ただ見るだけだから」


心配しなくていいって心配するよ。


「はい、分かりました。午前9時でいいですか」


「それでいいだろう。いつもの出勤時間だから、ありのままで良いと思うよぞ」



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