黒歴史エッセイ③『3文字事件~バスケットボール部の練習試合で平成の松本〇子になった俺~』
村田鉄則
3文字事件~バスケットボール部の練習試合で平成の松本〇子になった俺~
※下ネタが含まれます。
突然だが、俺には、H君という同級生が居た。彼とは保育園から中学まで通っている場所がずっと一緒で、そこそこ仲が良かった。中学1年生になった俺は彼ともう一人の同級生と一緒にバスケットボール部に入った。しかしだ。俺一人を除いて皆、幽霊部員になったのだった。
俺は一緒に入った三人の内たった一人、途中で辞めず、引退までずっとバスケットボール部を続けたのだった。
今回の話は、中学生1年生の3学期の出来事である。
突然、幽霊部員だったH君がバスケットボール部に通い始めたのだ。
H君は、自分の親にはバスケットボール部にまだ通っていると嘘を話して、土日はユニフォームを着て、本屋等に行ってたのだが、嘘がバレて通うことになったと言っていた。
その頃、部に所属している人間の中で唯一のバスケットボール初心者だった俺は孤立していた。なので、その時は、昔からの友達かつバスケットボール初心者が部活に帰ってきたことが嬉しかった。当時の俺は、そのまま、彼が再び部活動を続けてくれるそう思ってさえもいた。結果、彼が部活動に来たのは、一時的なもので、その後に彼は退部するのだけれども。
その一時的に彼が部活に通っていた時期に、他校の体育館で練習試合があった。他校、つまり、試合相手は同じ市内の学校で、会場までは自転車で行ける距離だった。一人で田んぼの真ん中の道を自転車で寂しく漕ぎながら練習試合の会場に辿り着いた。入ると、そこにH君の姿が見えた。H君が練習試合に参加したのはこの日含めて2,3回だけだったように覚えている。
H君は、俺に向かって笑って手を振ってくれた。
俺も手を振り返す。
結局、バスケットボール初心者だった俺たちは、ただの応援役と言う形で現地入りしていた。練習試合に出る者以外はコートでの試合に向けた練習にさえ参加できず、俺たちは1日中ずっとパイプ椅子に座っていた。
体育館の真ん中のネットを挟んで隣で、同じ中学の女子バスケットボール部も練習試合を行っていた。
そんなときのことである。
俺は、最近聞いた、ある言葉を彼に聞くことにしたのである。
その言葉は”×××”だ。
あの松本〇子が発していた四文字のワードの後半三文字である。
所謂、女性器をさす言葉だ。
俺の家は、パソコンはあるものの、子供だけではインターネットを自由に使わせてもらえる家庭ではなかった。そして、それまで性教育で習ってきた言葉と”×××”は違い、全く持って”×××”が何か当時は知らなかった。
じゃあ、何故この言葉を俺が知ったのかというと、音楽の授業中、歌を歌う際に、その”×××”をこんな感じでふざけてリズムよく連呼する不良が居たのだ。
「×××!、×××!、×××!、×××!」
音楽の先生はその言葉を発した不良に対して、鬼のような形相を浮かべて大きな声で「やめなさい!」と怒っていた。
そんなわけで、俺は”×××”は言うと怒られる言葉ということだけは知っていたが、なんでそれを言ったら怒られるのか?、そもそも何の言葉なのか?、疑問だったのである。
そのため、俺は運悪く、2人で仲良く話し、話が盛り上がって、お互いのテンションが爆上がりのときに、H君に疑問をぶつけた…
なんと…
「×××って知ってる?」
そう言ったのだ…
しかも、普段より大きな声で…
その時、その言葉を聞いた先輩たちが訝しげな眼で俺達を見てきた様子を今でも覚えている。
H君は俯きながら、”女性なら誰でも付いてる”、”あの人たちにも付いている”、という旨の言葉を発し、ネット越しに見えるパイプ椅子に座っている女子たちを指さした。
俺はそれだけでは、”×××”の意味が分からず、「どういうこと?」と深掘りをした。
H君は頭を掻きながら、照れくさそうに
「ち〇この逆や」
と言った。
俺はその言葉を聞いて、自分が言った言葉の意味や、たった今置かれている状況を理解し、ゾッと寒気に襲われたのだった…
これが俺の中学生時代の黒歴史の一つである。
今ではH君とは、疎遠である。しかし、今でもバスケットボール部時代のことを思い出すと、合わせて、今回話したあの日、あの時、あの場所でのH君との思い出も同時に自動的に思い出してしまうのだ。
それほど、これは俺の中で印象に残っている出来事なのだろう。
黒歴史エッセイ③『3文字事件~バスケットボール部の練習試合で平成の松本〇子になった俺~』 村田鉄則 @muratetsu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます