【KAC20242】『住宅の内見についてのクソエッセイ』

小田舵木

【KAC20242】『住宅の内見についてのクソエッセイ』

 さてさて。KAC第2回のお題は『住宅の内見』

 今は3月5日の午前5時57分。

 今回のお題に対して。各作家様達が思い思いの作品を出している頃合い。

 私は皆様の作品を見て、「ほえ〜今回も皆、上手い事調理しとるのお」と感心している。

 

 今回こそは。クソエッセイでお茶を濁すのではなく。

 小説で勝負に出ようかと思っていたが―

 いやあ。今回のお題もなかなかシンドくないですか?

 そも『住宅の内見』。一見ふところが広そうなお題ですが。

 これ、実際に小説を書く段になると。最初のシチュエーションが完全に縛られる。

 私にとっての小説は書き出しが勝負なのです。

 それを縛られるこのお題。私は想像力を羽ばたかせられそうにない。

 

 それに。出品作を見る限り。

 小説の内容が似たようなモノが多いように感じられた。

 まあ、最初のシチェーションをガチガチに縛られているから、これは仕方のない事なんだけど。

 ここに想像力貧困な私の作品を打ち込むのは、かなり勇気が要る。

 もし打ち込んだとて。多くの良作の中に埋もれるのは間違いない。


 うん。格好つけてモノを言うなれば―「屋上屋を架す必要性を感じない」

 正直に言うなれば―「ここで小説で勝負に出たくない」

 

 私は。前回の逃げ―『全てを破壊しながら突き進むバッファローの群れ』での経験をそのまま流用することにする。

 そう。クソエッセイのお時間です!

 ああ。これじゃあ。KACのお題全てでエッセイという逃げを使ってしまいそうだが。

 知った事か。わざわざ良作が出ているトコロに似たような作品を打ち込みたくねえんじゃ!!!!

 

                  ◆

 

 さて。『住宅の内見』ですが。

 私、そこそこの引っ越し回数があるのです。

 昨日、お題を見た時に。エッセイを書く可能性を考慮して数えておきました。

 子ども時代から通算して。11軒のお家で生活してますね。

 今、私が32なので。雑ぅに計算して一軒平均3年の生活。

 いやあ。尻が落ち着いてない。

 

 まあ。11軒の家に暮らしていたのだから、11回の内見経験があるかと言えばノー。

 そもそもウチは転勤族の家庭でしてね。最初の5軒は親のセレクションな訳です。

 そして。更に。3軒、これは引きこもり更生施設の寮を移動しただけ。元から用意されてるトコロに移っただけ。これも内見はしていない。

 

 んじゃあ?お前は何時いつ内見をしたんだよ?と問われれば。

 社会人になってからの2回のみです。あと一軒は会社の用意した寮だったので内見なんかしてねえ。

 

 んで。

 私の少ない内見経験ですが。

 何故か。毎回、一人ではなくて。付添の人間が居たんですなあ。

 最初は。引きこもり更生施設の寮を退寮した時の話ですな。

 あん時は。社会人に成りたてだったし、寮を退寮するってえんで、中々不安でしたね。だから。寮のスタッフに頼んで。不動産屋に付いてきてもらった訳です。

 

 しかし不動産屋ってのは。なんでああも面倒くさいんですかね?

 大抵、こちらの要望には応えてくれません。

 

「〜で〜位の4万円の物件を探してまして。チラシで見たあの物件が良いんですが…」

「あの部屋は人気でしてねえ。埋まりました」

「…なんぞ他にないんですか?」

「ありますよお!!!」

 

 んで。紹介される物件は。まあ、微妙な感じな場合が多いです。

 うん。私で在庫を処分しようとするんじゃない。

 だがしかし。私には時間がない。

 提示されたモノで選んで行く他ないんですな。

 

 私は。あの時、駅チカの物件を探しておりました。

 なにせ。大阪の北摂から京都に電車通勤してましたから。

 んで家賃の予算は4万程度。

 …今思えば。阿呆みたいな予算で、北摂地域に挑んだモノだと思います。

 北摂地域は。大阪の中でもトップクラスの家賃の高さな訳です。

 

 不動産屋さんは悩みましたとも。

 世間知らずのガキが。4万握りしめて。駅チカ物件を紹介せぃ、と迫ってくるんですから。

 悩みに悩んだ不動産屋さんはある物件を提示します。

「駅チカ、スーパーの裏、家賃4万2千円…」

 おお。それこそ。私の探していた物件です。

 私は早速部屋を見せろと言いましたとも。

 

 ほんで。内見。時間は夕方でしたねえ。

 物件は小綺麗で。私の求めるモノが揃っておりました。

 私は大喜びです。付添のスタッフ氏も「いいじゃん」と言っております。

 んで。馬鹿な私は。

 部屋の壁の厚さなんかをチェックしないまま、内見を切り上げ、契約の段に進んでしまいました。

 ああ、コレが後から響いてくるとは夢にも思っておりませんでしたとも―

 

 ま、オチから言いますと。

 あの物件。条件が良い割に家賃が安かったのは。

 事故物件だった―んなら面白いんですが。

 うん。ただ単にね。壁が激薄だったんですわ。

 

 いやあ。皆さん。私みたいに阿呆じゃないから、物件の内見の時には壁を叩いておくんでしょうが。

 私はね。そんな常識を知らんかったのですよ。

 

 暮らしてからビックラこきましたね。

 なにせ。隣のアホの生活音が丸聞こえ。

 これはキツい。

 休みの日ともなれば。隣のアホは彼女を家に連れ込みやがり。

「早く家から出ていかねえかな。隣の馬鹿小田舵木。ヤれねえじゃん」なんて。会話が聞こえてきやがるんですよ。

 いやあ。クソ物件。ま、私の我儘と知識の無さが招き寄せた結果でしたけどね。

 

 そんな壁薄物件での生活は2年で終わりました。会社の転勤ですわ。

 その間。私は部屋に友達を連れ込みまくり、女を連れ込み…

 うん。かなり隣近所に迷惑かけたよなあ。

 

 …うん。最初の内見は敗北した感じですね。

 ま、あまり実害は無かったですけど。

 なにせ。騒音に関して言えば。隣のアホより私の方がうるさかったですから。

 

 さてさてさて。

 私の2回目の内見は。うつ病を発症し始めた27歳の頃。

 色々諸々あって。実家に帰っていた私が家を追い出された時の話です。

 あん時は。流石にいい年なので。一人で物件探しをしようと思ったのですが。

 親がね。心配して着いてきやがりまして。

 親に見守られながら物件探しをしておりました。

 

 今回こそは。まともな物件で暮らしたい…私はそう思っておりました。

 前回の壁薄物件、陰気な会社の寮…もうクソハウスは御免な訳です。

 

 んで。不動産屋さんとのやり取りは似たようなものでしたね。前回と。

「〜で〜で4万円の物件を。チラシで見たアレとか良いなあ」

「アレは埋まりました」

「だろうね(釣り物件か…)ほな。他は?」

「ありますよお!」

 

 んな訳で。

 ある物件を紹介されたのは良い。

 物件自体もいい物件であった。

 問題は。当時勤めていた会社が物件の廊下から見える事ですな。

 

 あ。もちろん壁は叩きまくりました。

 きっちりばっちり。コンクリートが詰まっててグー。

 

 でもなあ。会社が家の廊下から見えるってどうなのさ?

 あまりにも近すぎる。これじゃあ。休みの日も何かにつけ呼び出される…

「これはねーわ」私は呟きました。内見中に。

「これでええやろがい」親達は譲りません。

「やだよお。会社が見える物件なんて。心休まらん」

「四の五の言うな」

「…ああ、もういいや、これで」

 

 結果として―

 今もその物件に住んでます。

 前の前の勤め先がバッチリ見える物件に。

 これ。最初の頃はマジで嫌でした。なにせ。プライベートで行動していたら、会社の人間とエンカウントするんですもの。

 会社を辞めた後は気まずいのなんの。元同僚に会わないように気配を殺しながら生活してましたね。

 

 

                  ◆

 

 以上が。

 私の放つ『住宅の内見』のエッセイでございます。

 …特に面白いエピソードはありませんでしたね。

 いやあ。事故物件やとんでも物件に暮らしていたら。そりゃあいいネタになるんでしょうけど。

 実際のトコロ。事故物件で暮らしたいヤツは居ないと思いますよ、個人的に。

 

 皆さん。

 家を探す時は慎重に行動して下さいませ。

 決して。私のように。適当に決めてはいけません。

 後悔することになりますよ!!

 

 それじゃあ。そろそろお別れのお時間です。

 クソエッセイのお相手は。小田舵木でした。

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【KAC20242】『住宅の内見についてのクソエッセイ』 小田舵木 @odakajiki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ