第5話 何、この微妙な関係
【登場人物紹介】
ここまでのあらすじを踏まえた人物紹介です。
真鍋星矢(せいや)…社会人二年目。愛未のあざとさにやられ、好きになってしまったが愛未に彼氏がいることを知り、ショックを受ける。
中野春花(はるか)…社会人一年目。星矢が色々教えている後輩。いきなり、星矢に「付き合ってるフリしてくれ」と頼む
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あまりの衝撃に星矢は戸惑った。
「ちょ、ちょっと待って。付き合ってるフリ?どういうこと!?」
「実は私、最近ストーカーにつけられてて。酷い時は家の近くまでついてきて。かろうじて、撒いてるんですけどこのままじゃ家も特定されそうで。だから彼氏いること知ったら諦めてくれるんじゃないかなって。」
「え。でもさ、中野、彼氏いるっしょ?」
「あ、その人は別れました。一週間前に」
………え。めっちゃタイムリー………
「あ、そうなんだ」
「はい。こんなこと、自分勝手なお願いって分かってるんですけど私、怖くて。頼れるの先輩しかいないんですよ!」
そんな悲しい顔で頼まれると断れるわけがない。星矢は元々、頼み事は断れない性格だ。ましてや可愛い後輩からの頼み事なんて絶対に断れない。
「わかったよ。でもさ、付き合ってるフリって具体的にどんな?」
「行きと帰り、一緒に歩いてくれるだけでいいんです。できれば手とか繋いでた方がいいかも。それを何日か続けたらきっと諦めてくれると思うんです」
「そうか。それだけなら全然いいよ。」
「ほんとですか!ありがとうございます!」
凄い笑顔で星矢の手を握って喜ぶ中野。星矢はその姿を可愛いと思ったがそれが後輩としての可愛さなのか一人の女性としての可愛さなのかは分からなかった。
とりあえず言われるがまま、星矢と中野は恋人繋ぎしながら帰った。近くに誰も見てないか確認しながら。
「ここです!私の家」
星矢の借りてる寮からはほんと数メートルの距離の所だった。こんな近くに住んでいたのか。
「本当にありがとうございます。そして明日もお願いしたいです。」
「わかった。明日も一緒に行こう」
「それから、、この関係は誰にも言わないでほしいです。もちろん春日部さんにも。本当に付き合ってると思われたらまずいですよね?」
「そうだね。言わないでおくよ」
そう約束して二人はハイタッチして帰った。
星矢は家に帰った後も恋人繋ぎしながら中野と帰った事を思い出していた。星矢は割とチョロい男だ。恋人のフリと分かってても興奮してしまった。
………何、この微妙な関係………
しかし、ある事に気づいた。中野は今、彼氏がいない。もしかしたら人助けのつもりで恋人のフリを続ければいつか向こうが自分の事を好きになって付き合える日も来るんじゃないか。そんな事を考えてる時点でこれは人助けというより打算的な優しさなのは星矢本人も気付いていた。でも、昨日、愛未から弟としか見れないと言われたショックを和らげるためならそんな妄想をすることが最適だった。
………よし。中野と本当に付き合えるように頑張ろう!!………
そう決心した。
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ここまで読んでくださり、ありがとうございます!感想や主人公が誰と結ばれるのか等、予想を応援コメントとかに書いてくれるととても嬉しいです。
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