第3話 性的志向の理解
時は少し進んだ。あきらとナツミが付き合って1ヵ月が経った頃。二人は居酒屋でお酒を入れながら馴れ初めなどを語った。どうやらナツミは告白されるまであきらの好意に気づかなかったらしい。
「え!?まじで?俺、バレてると思ってた!だって俺たち、二人で水族館とか行ってたからさ。ナツミ、恋愛感情ない異性と水族館行くの?」
「うーん。私、バイだからさ。全然恋愛対象の女の子と水族館行く事とかもあったから異性と二人きりだからって恋愛感情持ってるとは思わなかったなぁ、、」
「なるほどね〜」
(え、さらっと今凄いこと言ったよね?バイ?バイっで男女両方恋愛対象になるやつでしょ?まじ?バイなの!?
しかも普通にカミングアウトするんだ!)
あきらは少し動揺しつつ、それを見せないように会話を続けた。
そして帰り際、「好きだよ」と言ってハグしたままキスをした。二人にとっての初キスだった。
帰った後、あきらはネットでLGBTQについて調べた。もちろん理解を深めるためだ。今、付き合ってるのは自分なんだと言い聞かせ、他の女に靡くことはないと必死に言い聞かせた。
しかし、あきらの自己肯定感の低さから悪い方への考えが止まらなかった。
(ナツミは同じ学科の女の子やサークルの女の子と話してる時、すっごい楽しそうに話す。もし、俺のことがそんなに好きじゃないのなら。本当はそっちの女の子といる方が幸せなんじゃないか?バイセクシャルなら女の子でもナツミの欲望を満たせるってことだろ?俺といるより仲良い女の子といた方が楽しいんじゃないか?
俺がナツミにできることは一体何なんだろう、、)
(別れたくない。本当に別れたくない。でもいつか、、俺のことをやっぱり恋愛的に見れなかったって振られる時がくるかもしれない。そうなったら俺はまた一人?
またモテない人生に逆戻り?そんなの嫌だ。別れたくない。でもナツミがずっと俺といてくれるっていう自信がない…)
そんなことを考えてるうちにあきらは後輩のカノンに返信をしていた。
「おつかれ!この前行ってたご飯行く件なんだけど来週の土曜か日曜なら空いてるよ!予定どう?」
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