第2話 まず『カタチ』から入る??

とりあえずチームができたところで、言い出しっぺのもっつんが


「じゃぁ、手始めにユニフォームを作るか」


と提案した。ユニクロの白いTシャツにスプレー缶で「型の上」からスプレーしてユニフォームを作るわけである。女性の二人には、大会にはジャージで参加してもらう事とし、ユニフォームは男性のみが作ることとした。さすがに「ユニクロの白いTシャツ」1枚では生地が薄く、女性が着るのは恥ずかしいだろうし、彼女たちにそんなものを着せたら、俺たちが「ノックアウト」である。


風もなく、日差しも穏やかな日の放課後、グラウンドに男子諸君は集合し、ユニフォームを作ることとした。タッシーがユニクロで白いTシャツと、ホームセンターで水色のスプレー缶を2本買ってきてくれた。


手先の器用なもっつんが、「“HINKETSU”とアンダーライン」をデザインした型紙を持ってきていた。まず最初は自分用のTシャツをもらって、型紙を当て、胸のあたりに“HINKETSU”の文字をスプレーした。なかなかいい感じだ。


そして背番号は、各自で自由に決めてよい、とした。それぞれ、背番号を工夫した。りくろー君の背番号は「り96」だった。師匠の背番号は「√4」(=2)だった。俺の背番号は素直に(?)考えた末、「-1/3i」とした(筆者解説:日常生活で取り扱っている「数」は、特殊な仕事(電機、電子関係の設計やプログラミングなど)をする人でなければ、いわゆる「実数」という数字を扱っている。実数の性質として、「その値の2乗は常に正(プラス)である」という事がある。つまり、(マイナス)×(マイナス)=(プラス)となる。ここで便宜上、2乗すると(-1)になる数を想像する。そんな数は実数の世界では存在しないので、「実数」に対して「虚数」と呼び、2乗して(-1)になる数を“i”(電気工学の世界では“j”とあらわすこともある)と表現する。“imaginally number”(想像上の数)の頭文字である)。


私の背番号が虚数なので、試合前に「背番号順に整列」と指示されると私だけ相手チームの背後に立つことになる。


自分の背番号は、自分で型紙を作り、自分で位置を決めてスプレーした。こうして、男性陣は全員自分のユニフォームができた。背番号が全くダブらなかったのは奇跡だろうか?


こうして「ユニフォーム」は無事完成したのであった(あれっ?練習は??)。

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