第38話 スマホを紛失
だが、ほっとしたのも束の間、またしても不運が
救助要請しようとズボンのポケットに手を入れたところ、スマホがないことに気付いたのだ。
「嘘だろ……?」
慌てて他のポケットにないか確かめたが、どこにも見当たらなかった。
おそらく山道で落としたのだろう。今から探しに戻るわけにもいかない。
「くっそ!」
直樹は焦燥感に駆られながら、通りの右手に視線を向けた。
この道に沿って歩けば、山荘への入り口に着くはずだ。さらに先を行けば商店や民家がある。
「……行こう」
直樹は全身から噴き出す汗を手や腕で拭いながら、力の入らぬ足を気力だけで前へと進めた。なだらかな道だというのに、時々足がもつれる。
それから五分も経たぬうちに、見覚えのある私道入り口へとたどり着いた。
当然だが、
直樹はしばし考えた。
今から民家へ行き住民を叩き起こして救助を頼むべきか、バス通りに出られることが分かったのだから、山荘に戻って皆にこの状況を説明するべきか。
三人の望む答えは前者だろう。
だが、民家に向かっている間にもあの子が再び動き出さないとも限らない。その時、誰が山荘を離れるのか。亮平と
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