第28話 山荘を抜け出すには
少し
「この山荘には、女の子が住んでいる」
「お盆の時期になると、あの子は目を覚ます。
この山一帯が、あの子の遊び場。
皆が去ろうとすると、あの子はそれを引き留める。
あの子は正しい遊び方を知らない。
鬼ごっこ、かくれんぼ、だるまさんが転んだ。
あの子にはあの子のルールがある」
直樹が前所有者から聞いた情報はここまでだ――。
この先は都市伝説のサイトで見た内容とほぼ一致する。
「ここを抜け出すには、方法が二つ。
一つはお盆が終わるまで耐え抜くこと。
一つはあの子に見つからないように、この山を下りること」
最後の一文に、莉奈が怒りをぶつけた。
「何度も試したけど、出られなかったじゃない!」
確かにそうだ。何度も抜け出そうと試みて、その都度、山荘に戻された。
だが、それには理由がある。
直樹は、莉奈の怒りに目を背け、続きを読み上げた。
「山荘を抜け出すには、二人別々の道を辿ること。
一人はあの子に捕まるけれど、一人は通りに抜けられる。
ゆっくりしていると、二人とも捕まるよ。
三人以上は、あの子にとってルール違反」
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