後悔のない人生設計のすゝめ

nira_kana kingdom

後悔のない人生設計のすゝめ

 照徹手徹手てれってっててってには三分以内にやらなければならないことがあった。


 その事を話す前に彼について説明しよう。彼は24歳独身、彼女いない歴=年齢の社畜サラリーマンであった。中小の商社に勤めていて、激務の日々を送っていた。


 そんな彼にたまたま一日休みの日ができた。貴重な休日だったので、彼は絶対に無駄にしたくないという思いから、昨日の内から入念に一日の計画を立てた。それがこちら。


『朝は六時に起きて、朝日を浴びながらランニングする。


 七時には朝御飯にバターを染み込ませたトーストとしゃきしゃき千切りキャベツのサラダにミニトマトを二個添えエゴマ油をかけて食べ、とろっと半熟玉子のベーコンエッグを口一杯にほおばる。


 八時にはロードバイクに乗って家を出て、海辺を散策する。海風に辺り、絶景スポットに行って映える写真を撮る。


 十時にイオンシネマに移動し映画を見る。今回は気になっている「世紀の大決戦、肉弾頭大村vsキャリーケース中村」を見ることにした。公開期間は明日までだ。


 十二時半にはお洒落なカフェでランチを食べ、インスタに投稿する。


 十四時に市内の図書館に行き、資格の勉強を三時間する。家では絶対にやらないと考え図書館を選んだ。転職のための勉強や興味のある語学の勉強をしよう。


 十七時に勉強を終え、汗を流しにジムに移動。ジムには入会しているものの、ここ数ヶ月行ってないからたまには鍛えに行こう。


 十九時にトレーニング終了。汗を流しにすぐ近くのスーパー銭湯に移動。サウナで整え、湯船に浸かり、露天風呂を満喫する。温泉を楽しんだ後は漫画コーナーで好きな漫画を読み、スーパー銭湯内の食堂で海鮮盛定食を食べる。


 二十二時に帰宅し、サブスクで溜まっているアニメを消化する。


 二十四時就寝』


 これが彼の立てた完璧で無駄のない休日のスケジュールだ。しかし、彼が起きたら既に二十三時五十七分だった。


 彼は焦った。非常に焦った。深い後悔の念が込み上げ、一日を無駄にしてしまった自分の愚かさを嘆いた。しかし、一日はあと三分だけ残っている。ここで彼は何か有意義な行動を取らなければいけない。このままでは一日を棒に振ってしまうことになるだろう。


 彼は考えた。彼の頭脳は追い込まれれば追い込まれる程活性化する。今の彼の脳内コンピューターは富岳クラス。IQは計測不能だ。


 そんな彼の脳内コンピューターはあと三分でできることを瞬時に判断する。


 その間僅かコンマ一秒。


 まず深夜の時点でモーニングルーティンをこなすのはキツイだろうと判断した。というわけでランニングと朝御飯は除外した。


 かといってこんな時間に外に出ても店は閉まってるし、インスタ映えするものもないし、意味がない。彼は家でできそうなことを優先することにした。


 じゃあアニメでも見ようかとも考えた。しかし、アニメは一回につき二十分。しかも彼はサブスクの支払いを滞納していてアカウントを凍結されたばっかりだ。


 彼は結論を出した。


「今度やろう。次は本気出す」


 そういって彼は寝た。紛れもない現実逃避だった。


 その後も彼は計画を立てては頓挫し、後回しにすることを繰り返した。そうして六十年後。彼は日々の激務に追われて、やりたい事もやれずに死んでいった。




 ※人生は一瞬です。やりたい事をやるんです。時間は戻せません。刻一刻と過ぎ去って行きます。後悔のない一日を皆さんは過ごしましょう。

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