【KAC20241】勝利の一撃は三分以内で

この美のこ

勝利の一撃は三分以内で!

それは目の前にいる対戦相手を倒すことだ。


――うふふ、見てらっしゃい

この勝負、絶対、頂くわよ。――


ここは、とある女子アマチュアキックボクシングの試合会場。

リングの周りは熱気に包まれていた。


 蘭はリングの中央で息を切らせながら立っていた。

緊張と興奮を胸に闘志を燃やしながら。

額から汗が滴り落ち、目は相手の動きを鋭くとらえていた。

最後のラウンド。

声援の中、スタートを知らせるベルが鳴り、最後の三分が始まった。


 蘭は慎重に距離を測りながら相手の動きを見極める。

相手は強敵だった。

長身で、経験豊富なベテラン。

パンチとキックを次々に繰り出し、蘭を追い詰めてきた。

スタイル抜群ながらも小柄な蘭は息が荒くなり足元が重く感じられたが、決して諦めなかった。

自分の技を信じていた。

更に、観客席からの

「行け~!負けるな!蘭~!」

熱い声援が背中を押してくれた。

スタイル抜群の蘭に観客はくぎづけだった。


 一瞬の隙をついて、蘭の左フックが相手の顔面に炸裂。

観客のどよめきが聞こえてくる。


―― うぅ、この歓声がたまらない ――


 更に相手が立ち上がりながら前に出てきた瞬間、右足を高く上げ、相手の顔面にキックを放った。

その一撃が心地よく響いた。

相手はバランスを崩し、リンクの床に倒れ込んだ。


―― 決まった!――


 リンクの上で蘭は飛び上がり両手を広げて観客席の声援に応えた。

喜びと感動で胸ははちきれそうになり、涙が溢れた。

蘭は観客席に向かって深々と頭を下げた。

感謝の気持ちを込めて。


蘭は試合後のインタビューでこう語っていた。


「声援して下さった皆様、本当にありがとうございます。

私の努力が報われたことを誇りに思い、関係者の皆様にも感謝の気持ちでいっぱいです。

あぁ~、それよりもキックボクシングって全身をバランスよく鍛えられストレス発散にもなるダイエットなのでおススメよ」

と言いくるりと回ってアピールした。

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