包帯を巻いた猫。

猫野 尻尾

第1話:名前は「ちゃま」

嫁さんと一緒になってはじめて猫ちゃんを飼うことになりました。

僕の家の下の倉庫からニャ〜ニャ〜聞こえる子ネコちゃんの声。


気になって探してみたらどこから迷い込んできたのか一匹の子ネコちゃんが・・・。

どこかで飼われてたのかやたら人懐っこくて僕の足にからみついて来るじゃ

ないですか。


僕の顔をみてやたらニャ〜ニャ〜鳴くからお腹が減ってるのかなって思って、

シャケのおにぎりを取って来てあげると必死で食べてました。


どうしようと思って・・・どこかの飼いネコだったとしてもこのまま放っても

おけないなと思って、結局家の中へ。

ケージなんかないから、とりあえず寝床を作ってやって、次の日にペット

フードとトイレとおしっこシートだけ買ってやりました。

結局飼い主が探しに来るまで我が家で面倒を見ることにしたのです。


名無しの権兵衛じゃダメだと思って我が家専用の名前をつけてあげることに

しました。

男の子の子ネコちゃんだったことから、我が家の「お坊っちゃま」ってことで

名前は「ちゃま」ってつけました。


ちゃまは毛の色がグレーと白い毛の部分がけっこう多かったから柴かアメショの

ミックスだったんじゃないかって思います。


結局飼い主らしき人物は現れず正式にうちのネコちゃんとして飼うことになり

ました。


自由奔放なネコちゃんだったけど、よく僕と嫁さんの言うことを聞きましたね。

おいでって言うとちゃんと来るし、ちゃまって呼ぶとちゃんと返事はするし

寒い日はよく僕のお腹の上でゴロゴロ喉をならしながらうたた寝してましたね。

寝るときも同じ布団で寝てね。

結局ケージで育たなかったから自由奔放だったんですよね。


やはり男の子だから、そのうち外に出たがるようになって、だから外出用の小窓を作ってやりました。

一度そこから出してやるとすぐ覚えましたね。

朝、散歩に出かけていって夕方、ご飯食べに帰って来る・・・それが、ちゃまの

日常になって行きました。


ある日、ちゃまが胸に大きな穴を開けて帰ってきたんです。

表面の皮膚が破れてたんです。

ネコちゃんの皮は硬いはずなんですが、皮だけが破れた

状態で中身が見えていました。

出血してなかったので一安心。


すぐに病院へ連れて行って傷を縫ってもらったんんですが、通院はせず毎日

薬を塗って包帯を巻いてやっていました。


それでも遊びに行きたがるから包帯が解けないないよう、しっかり結んで

やって外に出すんですけど、帰ってきたときには包帯はないんです。


でも、そんな格好で走り回ってるから、ご近所では「包帯を巻いたネコ」って

有名になっちゃって。


でもネコの治癒力ってすごいもんです。

傷は一週間くらいで綺麗に完治しました。

傷跡も分からないくらい。

それはすばらしいとしかいいようがありませんでしたね。


それに外に出かけていない時はよく寝てましたね。

ネコちゃんはよく寝るって言いますが、あれはしっかり自分の体力を回復して

るんですね。

ネコちゃんを見習うなら、人間もしっかり睡眠は必要かなって思います。


男の子のネコちゃんは女の子と違って縄張りが広いっていいます。

いつの日か、ちゃまは外に出かけたっきり二度と帰って来ませんでした。


考えられることは道路を渡っていて車に轢かれた・・・それしか考えられ

なかったです。

一応、周辺は探しには行ったし、何日も帰って来るのを待ちました。

でも結局帰ってくることはありませんでした。

ちゃまの亡骸がないまま僕と嫁さんでお葬式をあげてやりました。


ほんとは外には出したくなかったんですけどね。


でも外に出さないってそれって監禁でしょ、束縛ですよね、ネコちゃんの自由を

奪っちゃうってことですよね。

僕のうちでは、そういうことはしたくないので危険があっても基本ネコちゃんは

外に出すようにしてるんです・・・ネコちゃん自身が望んだらね。


ちゃまは我が家に飼われて幸せだったと思いたいです。

きっと天国で僕たちを見守ってくれてると思います。


おしまい。

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