第8章 紡がれし英雄譚





___始まった。ネプチューンとの決戦が。皆は静かに待機している。それもそうだ。命を落とす可能性が高い。それに戦いの結末は私の指令にかかっている。


エカチェリーナ「コロンブス。レーダーの反応はどうだ?」

コロンブス「何も。それよりエカチェリーナ。作戦はどうするの?」


エカチェリーナ「まずはネプチューンを探す。姿を確認出来たら ダイナの荒地へ向かう。そしてダイナの荒地へ着いたらそこで迎え撃つ作戦だ。」

家康「確かにそれが良いな。海ではまず勝てないだろう。」


作戦が上手くいくかどうかは分からないが この作戦しか無い。そう考えたその時。


コロンブス「明らかに波が強くなってる!」

エカチェリーナ「了解した!皆の者上がれ!海舟!操縦は任せたぞ!」

海舟「はい!」


戦艦の上部へ上がるや否や...現れた。


ネプチューン「貴様らか...ジュピターの言っていた藻屑共は...」

コロンブス「アンタがネプチューンでしょ!アタシ達を殺る気なら かかって来なさいよ!」

ネプチューン「良いだろう。その身体を断末魔と共に沈めてやる。」


開戦だ。皆に指令を下す。


エカチェリーナ「海舟!舵を取れ!そして信長!龍馬!ネプチューンを撃て!」

信長「了解だ!」

ネプチューン「神にその程度の攻撃で効く訳無いだろう。」

家康「波が強くなるぞ!耐えろ!」


海は荒れ 波は勢いを増す。その絶望的状況の中でも希望を捨てたく無い。


コロンブス「ちょっ..!波がヤバい..!」

ヴァスコ「ミケランジェロ..頼んだよ..!」

ミケランジェロ「分かりました!」


ミケランジェロは皆の前後に防御壁を造り 波から守る。


ミケランジェロ「皆さん!防御壁は長く持ちません!」

エカチェリーナ「海舟!今の内に速度を上げろ!」

 

すると船は急速に速度を上げる。

しかし やはり波が邪魔をして上手く速度を出せない。

 

ヴァスコ「くっ...!せめて舵が効けば..!」

ネプチューン「たかが人類の発明など 瓦落多に過ぎん!」

 

ネプチューンの一声に加勢するが如く 海が荒れる。振り落とされたら確実に死ぬ。


三成「何かに掴まれ!振り落とされるな!」

エカチェリーナ「防御壁が崩れるぞ!信長!龍馬!戦闘準備を!」

 

信長と龍馬は銃を構え ネプチューンを迎え撃つ。その途端防御壁が崩れる。


ネプチューン「所詮人類は軟弱な道具頼りか!」

エカチェリーナ「惑わされるな!三成!大砲で迎え撃て!」

 

荒れ狂う大海を相手に三成は大砲の狙いを定める。


三成「皆!避けろ!」

 

三成の合図と共に大砲が撃ち放たれる。しかしネプチューンは波を巧みに使い弾丸を弾いた。

 

エカチェリーナ「早く陸に着けば..!」

三成「くそっ!弾が届かない!」

 

海は荒れに荒れ 船は波で大きく揺れる。

 

ネプチューン「沈むが良い!愚かな人間共よ!」

 

大波が戦艦を飲み込む。皆は戦艦に掴まり 必死に耐える。

 

エカチェリーナ「振り落とされるな!」

信長「諦めるなよお前ら..!」

 

しかし時間は長くは持たない。徐々に戦艦に重みがのし掛かる。

 

ヴァスコ「くっ...!これ以上は..!」

 

皆が絶望に呑まれる中 ある策が頭を過ぎった。失敗すれば確実に死ぬ。だが...私にはこれしか無い。

 

エカチェリーナ「海舟!装甲を収納しろ!そして限界まで速度を上げるのだ!」

 

すると戦艦の装甲が格納され 速度が急激に上がる。おそらく海舟も察してくれたのだろう。

 

エカチェリーナ「これが最後の策だ!陸に着くまで何としても耐え抜け!」

 

装甲が収納された事で波の衝撃は強く激しくなり 船は荒れに荒れる。

 

ネプチューン「小賢しい真似を..!」

マゼラン「攻撃が来ても耐え抜いて下さい!生き残る事が先決です!」

 

戦艦は荒波とネプチューンによる攻撃で大きく揺れ続ける。

 

ミケランジェロ「くっ...!」

清正「陸地に着けば...!」

 

しかし無情にも船は荒れ狂う海に引き込まれていく。

 

家康「もう駄目か..!」

 

その時。見覚えのある地が目に映った。

 

エカチェリーナ「皆の者!ダイナの荒地が見えたぞ!後少しの辛抱だ!装甲が収納された今ならさらに速度を上げられる!振り落とされるな!」

ネプチューン「させぬ!」

 

ネプチューンの波が大きく揺れ 戦艦に襲い掛かる。

 

三成「ぐっ...!早く陸に着け!」

ネプチューン「陸地に着かせてなるものか!ここで沈めてくれる!」

 

大波が何度も戦艦を襲う。装甲が収納された今。皆は必死に船に掴まり堪える事しか出来ない。

 

ミケランジェロ「くっ..!限界です...!」

 

ミケランジェロが声を発した瞬間。もの凄い衝撃と共に船が横に揺れる。そして船は陸に乗り上げた。

 

エカチェリーナ「全員陸へ上がれ!」

ネプチューン「くっ..!」

 

陸へ上がり ネプチューンと対峙する。

 

龍馬「陸に上がればこっちの物や!」

エカチェリーナ「反旗を翻せ!ネプチューンを穿つのだ!」

三成「無駄死には御免だ!撃て!」

 

皆が反撃の狼煙を上げる。

 

清正「この距離なら槍も届きますよね!」

信長「海の神とやらも陸に上がられちゃ 意味を成さない様だな!」

ネプチューン「くっ..!貴様らの様な藻屑共に神が負ける筈が無い!」

 

ネプチューンが抗戦するが 皆の猛攻に押される。私は間違っていなかった。

 

エカチェリーナ「ミケランジェロ!皆を防御しろ!」

ミケランジェロ「了解です!」

 

ミケランジェロが防護壁を張り皆を護る。

 

ネプチューン「小賢しい真似を..!」

ミケランジェロ「私がケリを着けます。」

 

ミケランジェロが自身の持つ菱形の宝石を砕き 力を解放した。

 

ミケランジェロ「大海の神よ。芸術へ加えてやる。」

ネプチューン「貴様の様な小娘を海の中へ引きずり込むなど容易い事よ!」

 

だがミケランジェロは一瞬の隙をつき ネプチューンへ岩を飛ばす。するとネプチューンの身体が石膏の様に固まってしまう。

 

ネプチューン「この私がっ...!」

ミケランジェロ「これで終わりだ。」

 

ミケランジェロが手を握り締めた瞬間。ネプチューンが粉々に砕けた。

 

エカチェリーナ「勝っ...た..のか...」

 

皆が放心状態になっていた。だが徐々に状況を飲み込んだ。

 

信長「勝ったぞぉぉぉ!!」

 

歓喜の声が上がった。

 

エカチェリーナ「ありがとう...皆...!」

コロンブス「アタシ達が勝ったんだ!」

 

皆が歓喜に酔いしれる。すると戦艦から海舟が出て来た。

 

海舟「やりましたね皆さん!」

ヴァスコ「海舟。操縦お疲れ様。」

海舟「いえ。全て皆さんのお陰ですよ。」

ナイチンゲール「皆お疲れ様。手当ては私がするよ。ゆっくりはしてられない。」

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