第7話 お春に合掌

「しまった、これは神奈川の飯盛り屋だ…」とお春はすぐに直感したがいまさら横浜には帰れない。店の奥にあてがわれた三畳一間の部屋で、この先のお島の不憫を思ってはこれを抱きしめ、自分の迂闊さ情けなさを何度も謝っては、ただ涙するしかなかったのだった。

さても…これ以降の、お春の葬儀にいたるまでの経緯を記すことは、さすがに筆者のよく能うるところではない…。 


※末尾にかの歌謡浪曲師・天津羽衣の歌「明治一代女」を置きます(下記UPL)。「意地も人情も浮き世にゃ勝てぬ、みんなはかない水の泡…」どうかお聞きください。苦労の末にはかなく逝ったお春。このような名もなき市井の女たちが、いったい往時どれほどいたことでしょうか?合掌。

https://www.youtube.com/watch?v=y0_Uwbx0gIw

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る