占い師ー占星術師マドモアゼル愛の思い出

鳥越敦司

第1話


占星術師のマドモアゼル愛に会って鑑定してもらったのは今から二十九年前位、前の事だ。(2022年の七月の現在からすれば、38年程、前になる。)

当時、私は熊本にいて福岡に行った時にある占い師を見て知り合いになり、その人を通して福岡市の天神コアビル(2022年現在は解体されたビルだ)で占い師のチャリティに行ってみた。

 その時に東京から来ていたのがマドモアゼル愛と紅有里だった。もう一人は福岡市の占い師だったと思う。マドモアゼル愛と紅有里にみてもらった。紅有里は今は、すでにこの世にいない。

 紅有里が言った事は、もう忘れてしまった。さて、マドモアゼル愛。その頃、炎愛という名前で、どこかに書いていたのを見たことがあった。実際に見ると今の顔とは少し違って、もちろん若いし、髪の毛もまだ普通にあった。チャリティ箱に五百円入れて、占いの始まり。


マドモアゼル愛は私のチャートを作成して、

「あなたは、ふつうの職業では、だめですね。」

とかいう事を言った。

「今は何をされていますか。」

「陸上自衛隊です。」

「うん、それも普通じゃないな・・・。」

「前は壁紙の会社で働いていたんですけど。」

「それは、だめです。」

とマドモアゼル愛は言うと首を横に振った。

「何か金管楽器なんかやると、いいですよ。」

とアドバイスしてくれた。

「とにかく職業は、ふつうではだめです。」

とか何とかも。

 それからの私は普通のサラリーマンをやった事がない。朝、通勤電車に乗って会社に行ったのも合計で一年にも満たないだろう。

 

 そういう意味ではマドモアゼル愛の占いは当たった。もしかして、そのアドバイスを実行したのかも、とも思えるが、やはり自衛隊をやめても普通といえる職業には、つかなかったので占星術は当たるのだ。 

 まあ、楽器は何もしませんでした。だからアドバイスは実行していないわけだが。


それから十二年くらいたって、あるところにあったマドモアゼル愛の通信鑑定に申し込んでみた。

 郵便で鑑定は送られてきたが、その中に

「あなたには億万長者の星があります。」

と書いてあった。その時も、現在も億万長者という状態には程遠いのだが、私も少しは占星術はわかるので、その占断はわかります。が、時期は特定してなかったし、私もいつかはわからない。

 

 2022年7月末の今でも億万長者は夢のように思える。マドモアゼル愛は、まだ生きているらしい。


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