教えて! キレイな別れ方
清見こうじ
第1話 出会いはだいたい偶然
人と人が出会うのは、ほとんど偶然のようなもの。
たまたま同じ地区にいたとか、たまたま同じ年だったとか、たまたま同期だったとか。
今からはだいぶ昔のこと。
平成前期の時代でも、それは同じ。
ようやく携帯電話が普及しはじめた頃。
まだ主流は
高卒の私と、大学中退で3歳年上のあの人がたまたま同期で、三期に分けて合同で行われた初任者研修でたまたま同じ時期に研修になって、たまたま配属場所が近かったからそのあとも仕事関係で会う機会があって仲良くなった、それだけ。
集合研修は専用の研修施設に泊まり込みだったので、同期というか、ほとんど同級生のノリだったし。
まあ、それが異性同士だったりすると、そこまで好きじゃなくても、なんとなく疑似恋愛を楽しむ雰囲気だったことは否めない。
男の子とお出かけしたことなんてなかった、
あの人がぐいぐいくるタイプだったら、ホントに恋人関係に発展したかもしれない、という可能性はある……か?
いやいや、ぐいぐいとはこない、そこそこ距離感保ってくれてたから、わりと警戒心なく遊んでいたのも事実。
プライベートのアドレスまでは知らせていなかったので、連絡は職場経由。
たまにどちらかの職場で会うとおしゃべりして、その時に誘われて遊びには行くことはあったけど、ほぼ昼間だったし、まあ健全な関係が2年近く続いてた。
ぬるま湯のようなわりと仲のよい同期の、異性の友達、という関係。
私が呑気だったのか、あの人がガマン強かったのか……。
だから、一方的に、あの人が悪いとは思わない。
私が鈍感だったのは、認める。
でもさ。
好きなら好きで、やっぱり伝えて欲しかった、は、ある。
最初こそ、「もしかして恋のはじまり?」とか浮かれる気持ちはあったけど、遊びに誘う以上のアクションがなかったから、そのうち「男女でも友情ってあるよね」とか思うようになってたし。
というか、就職して2年くらいになると、あの人以外にもグループ単位でなら遊ぶ異性はいたし。
飲み会とかレクリエーション大会とかで、出会いはいくらでもあったので。
まあ、その中でもあの人は、わりと一緒に行動する仲良しランキング上位にはいたけどね。
だから、あの人が、私に友達以上の特別な感情を抱いてるなんて可能性、頭からすっぽり抜けてた。
つまり、私は友達としか思っていなかったし、恋に発展させようなんて意欲が湧くほどには、好きじゃなかったんだと思う。
少なくとも、もうその頃は、あの人と恋愛したいとは思ってなかったんだよね、きっと。
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