琴杜のきょうだい

ゆ〜

もう少し先のお話

「いってきま〜す」

「おう、琴杜こと気をつけろよ〜」


私は7つ上の兄と二人暮らしをしている。

親は私が都会の高校に行くと決めてから「お兄ちゃんと暮らしてね〜」と放任だ。

そして私の兄はというと、大学4年で周りからは「The・イケメン大学生」として名を馳せている。それに文武両道ときたら惚れない人なんてそうそういない。

前に一緒に買い物に行った時なんか散々だったよぉ…


「おはよ、琴杜

 朝からため息なんてついちゃってらしくないね」

「うわぁ…

 ここにもいたよイケメン男子…」

「え?それ僕、褒められてんの?」

「アー、ソーカモネー」


ふふっと天使のような笑みを零す瑠羽るうは私の幼なじみだ。

彼はヨーロッパと日本のハーフだ。

だからなのか透き通った彼の瞳は文字通り綺麗な瑠璃色をしていてうっかり見とれてしまいそうになる。

しかも、コイツはコイツでファンクラブがあるというモテっぷり…


「もうやめてくれ…」

「ん?何か言った?」

「え?なんのことかな☆ なにも言ってないよ☆(ゝω・)vキャピ」

「絶対なんか言ったじゃん!僕知ってるもん!琴杜がそう言う時は絶対なんかある!」


黙っていればめちゃ天使で爽やかイケメンなのに喋るとほんっとに犬系なんだよなぁ…


「ねえ!なんて言ってたのー。教えてよぉ…」


わーわー言ってる瑠羽を横目で見つつ学校にとーちゃーく。

瑠羽は他クラスなのでここでお別れする。


「おっはよーね!!」

「あー、いつも元気で結構結構」

「うっわ、テンションひっく」

「いや、お前に言われたくねーけど」

「琴杜も美杏みあもテンション低すぎだぉ?」

「「今度は何にハマってんだよ」」

「きゃー!ふたりともこっわぁーい」


いつもの世那せなの茶番に付き合っているとHRホームルームが始まる。


「――てことで、今日は特に連絡は無いかな〜」

「はい!!!あります!!」

「おう、世那どうした」


あ、ヤバい。またなんかしでかすのでは…?


「今年の文化祭ですが!!」

「あー。はいはいはい。後何ヶ月後の話かなー?」

「せんせ――」

「ほかある人ー?」


   シーーーン…


「じゃあ、一時間目の授業の準備してねー」


いつも通りではあるけど今日の先生、いつもより非情?



 ******************************


「疲れだぁ…」

「はいはい、おつー」

「うっせー!!」

「『授業寝てても』成績優秀な美杏に言われるとムカつく!!」

「強調すんな」

「語尾忘れてるしw」

「琴杜もそーゆーとこ無駄に気づくのウザいー」

「いいですよ〜」


   …キイ…パタン。


「「「!」」」

「まじ怖いんだけど…」

「こんな旧校舎なんて先生もこねぇよ」

「世那か美杏、誰か連れてきたの?」

「そんなこと無いって!」

「は?なんで好きな場所隠れ家教えなきゃならねぇんだよ」


   トン、トン、トン、トン。


静かな校舎内に足音が響き渡る。


「琴杜ー?ここにいるって聞いたんだけど…」

「「「あっ…」」」

「お前の連れじゃん!!!」

「なんだよ〜、瑠羽くんじゃん」

「あ、あれれ?なんでだろ」

「とりあえず出てけ」

「え!?!?」


ドンッと廊下へ突き飛ばされる。あ、ヤバい。

ほんとにヤバいって。瑠羽は怖いのダメなんだってばっ…

ギリギリのバランスを保っていられる……訳もなく、とびだした。


「さ、サプラ〜イズ…」

「悪霊退散、アクリョウタイサン、AKURYOUTAISANNッッ」

「瑠羽〜?わ、私だよぉ?」

「はぁ?なに幽霊ごときが僕の大事な琴杜に乗り移ってんの?

 殺されたい?あ、除霊か〜!!もう死んでるもんね w」

「るう…?」

「もうその姿で僕に話しかけないでくれる?

 これ以上琴杜の体を穢したら一生生まれ変われないようにしてやるよ」


待ってくれ、もしかして怖いスイッチ入れちゃった?

言葉が飛んできたら今度はが飛んでくるぞ…


「だから私だって言って――」

「は?この期に及んでまだ――」

「あー、もういい加減にしろっての」

「瑠羽くんひど〜い!!本物の琴杜だよ!幼なじみだよね?」

「ふぇ!?」


あ、変な声出てる。こういうところはちょっぴり可愛いな

にしても世那、ほんとは頭いいんじゃないだろうか。

ちゃんとしてる場面ではしっかりと話すし、たまに真面目な発言もするし。


「ほんっとにごめん!!!嫌いにならないで…?」

「…琴杜ってメンヘラ製造機とか?」

「それあるな」

「別にそんなこと無いから!!」


 ********************************



今日は家にがくるらしい。

だからお兄ちゃんは「外で時間を潰してこい」と言っていた。

せっかくだし、瑠羽も含めた4人で一緒に遊ぼうと思ったが全員放課後に用事があった。

私は何もなしでみんなは用事があるって、なんだよぉ!

今日ツイてないかもな(T_T)



 ******************************



「今日は家に来てくれてありがとね」

「いえいえ、琴杜のお兄さんから呼ばれるなんて思ってませんでしたよ。」

「じつはね、大切な話があって来てもらったんだ。」

「なんですか?」

「単刀直入に言うね?驚かないでよ?」

「はい!」

「えっと…」

「焦らさないでください」

「はい…

 実は、君と琴杜は双子きょうだいなんだよ」

「ほんとですか!?!?」

「うん。『母さんが言うには』だけどね?」

「え、ほんとに嬉しいです」



 ******************************




琴杜がと血のつながった双子きょうだいだと知るのは、もう少し先の話





 ******************************

お読みいただきありがとうございます!

さて!琴杜と血の繋がった子は誰なのでしょうか…

もしよろしければ、コメントで予想してみてください!!お願いします!!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

琴杜のきょうだい ゆ〜 @MainitiNichiyo-bi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ