第12話

(フォルティス)

A○ 2○ 3○ 4● 5○ 6● 7○ 8○ 9○ 10◯ X○ J○ Q○ K○


(グレンツェン)

A○ 2○ 3○ 4○ 5○ 6● 7○ 8○ 9○ 10◯ X○ J○ Q○ K○


「これで2対1、コーセイの注文通りに【相討ち】か……」

「次はクリハラんとこだぞ。言ったようにオレは『パス』だからな」

「分かっとるわい! ホンマに腹立つやっちゃのう。参謀を気取るんならとっとと『王族』を見つけんかい! 情報戦とはいえ、若いのが先に死ぬんはヤクザでも堪えるで」


 そのとき対岸のグレンツェン側で鋭い銃声が響く。思わず全員が陣地の前に駆け寄る。

「どういうこっちゃ! 何が起こったんや!」

「向こうの塔を見ろ、クリハラ。【J】が【A】に殺されたみたいだぜ。しかもお仲間・・・のな」

「な、何やと!」


(グレンツェン)

A○ 2○ 3○ 4○ 5○ 6● 7○ 8○ 9○ 10◯ X○ J● Q○ K○


「何をしとるんや? 仲間で殺し合って何の意味があるっちゅうねん!」

「勝ち確で強引に【ゲーム】を終わらせにきたのか……なるほどな」

 コーセイが苦笑いで首を振る。

「勝ち確? 勝つには相手の【K】か【Q】を殺さなあかんのやろ?」

「ルールを思い出してみろ。殺すのは相手側じゃなくても・・・・・・・・・いいんだよ。そのかわり何の報酬も手に入らないがな」

 クリハラが額に指をあてて頭の中にダウンロードされたルールを読み返す。その顔色が変わる。

「た、確かにそう読めなくも……いや、そんなバカな! ワシらは命賭けさせられとるんやぞ? 無報酬タダで生還するなんてあるか?」

「だから向こうの【A】には報酬より大事なことだったんだろうよ。復讐とかな。あるいは本当に自棄になったコンビニ強盗なのか……」

「いえ、どうやら復讐の線のようですね」

 携帯用のオペラグラスで向こうの陣地を見ていたコーチが言う。

「殺された【J】は会社の社長、撃った【A】はそこの若い社員のようですよ」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る