創作小説の表紙について

緑野かえる

お気持ち論、再び


 AI技術の進化は技術的な面からすればとても目覚ましく、革新的であると言う事を前提に、それを利用する側について最近勝手に思っている事の云々です。


 文章、イラスト系と出力をしてくれるサービスは今、山ほどありますね。しかも無料で利用でき、商用でなければ規約も緩い場合が多いです。


 オリジナル創作に移ってから、私は自分の小説の表紙や宣伝用のバナーは全て自分で大手のイラスト作成アプリを使ってサービス側が配布している素材などを利用しながら一から作っています。しかし最近、小説の表紙が設定できる投稿サイトなどでやたらと目立つ似たようなイラストの数々。


 の表紙。


 小説の概要欄に表紙(や挿し絵)はAIイラストであると明記されている方も勿論沢山いらっしゃいますが、そのイラストは一体何を食って生成された物なのでしょうか。

 私は、それについていつも違和感を勝手に感じているどころか我慢が出来ずにこうして文章にまでしてしまっています。


 ・・・


 確かに、デフォルトの表紙よりイラストやタイトルが記入されているオリジナルの表紙を用いれば人の目を惹きます。私も、自分で表紙を作る際は視認性を重視している為にタイトルをやたらデカく強調して作っています。


 しかしながらイラスト、一枚絵を貼りつけただけの表紙は同じ生成AIサービスを利用しているのかどれも似通った表情、色合い、明度……結局の所、パッと見だけ綺麗なイラストだと言う以外に何の主張があるんでしょうか。よく見れば指の関節はあらぬ方向へ、服の繋がりが破綻していたりなど多く見かけます。


 それは一体、ナニモノなんですか?


 何時間、何十時間も掛けて推敲しながら書き上げた上に更に校正をして作り上げた物語の表紙や挿し絵。

 本当に、ソレで良いんでしょうか。


 私はあくまでも極端な事を言っています。

 しかし、同じ作り手として何が元になって生成されたかも分からない、誰かがとても嫌な思いをしているかもしれないサービスを使ってまで表紙や挿し絵を付ける必要はあるんでしょうか。


 タイトル挿入程度や軽微なレタッチ等の改編にルールが無ければ、せめてその生成したイラストに自分の作品のタイトルを挿入するくらいしても良いんじゃないか、とも思います。


 しかしながら、その一枚絵から何が伝わるんでしょうか。


 イラストレーターさんに料金を支払って依頼をしたり、ファンや有志の方の厚意で描いて頂いたイラストとは全く別物の命令/プロンプトだけで出力したイラストは綺麗なだけの独り善がりの具象にしか正直、見えません。


 イラスト作成アプリやソフトを使って一から作るのが難しくとも、検索をすれば商用利用は不可でも完全内製のキャラクタージェネレーターや投稿サイトの表紙に使える小説専門の表紙メーカーなどの選択肢もあります。

 AIイラストを出力するサイトを探せるならば、それもまた出来る筈です。


 気持ちを込めて書いた小説です。

 表紙など言わば自分の作品、作風を示す大切な看板です。


 その表紙がどこまで小説作品に影響をするか。

 個人の裁量になってしまいますが私は大いにあると思います。だからこそ、視認性の良い太文字で自分の作品のタイトルやちょっとした煽り文などを挿入して表紙や宣伝用バナーを作っています。


 その時間もまた、楽しいんです。

 どうしたら作品を読んで貰えるか、と考えるのは小説を打っている時と変わりません。


 あくまでこの創作論は私のお気持ち、持論であります。






 ――だけどさ、

 自分が何十時間も掛けて書き上げた小説が勝手にAIに食わされて、勝手にどこかで使われていたらあなたはどう思う?



 おしまい。

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