クリスマスソングの配達員

主道 学

第1話 ぼくは歌が下手なんだ

 ぼくが歌が下手になったのには、ちゃんとした理由があるんだ。それは、ぼくが小学生だった頃のクリスマスの夜の事。深夜、親がぼくの寝室に音を立てずにクリスマスプレゼントを届けてくれた日。


 誤って父さんは、クリスマスソングを鼻歌で歌ってしまい。


 ぼくは即座に起き出した。


 サンタが来たのだと思ったんだ。


 心底嬉しくなって、電気をつけると……。


 なのに、そこには寝間着姿の父さんが気まずそうな顔をして、寝室の机におもちゃをおいていたんだ。


 それ以来。


 ぼくは歌が嫌いになって、当然、その頃から歌の練習もしていない。


 高校生になった時には、友達と一緒に行ったカラオケボックスでは、あまりの歌の下手さのために、追い出されたし。


 オーディオ機器からの歌唱曲から、街に溢れる歌すらも嫌いだった。

 

 ぼくは心底。

 歌からは縁を切ったんだね。 

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