詩(星)

紅い月に揺られ 聖なる夜に星は咲く


孤独に揺れ 呪われた白い指


虚無へ手を伸ばし 塵に埋もれた人形は壊れ逝く


空を繋ぐ星に 生まれ変わっても


誰かを癒す為に生まれて来た 誰かの手に届く様に生まれて来たんだ


人形が見る最後の夢は 満天の星空

小さな四角い箱に 小さなメッセージ





いつかは壊れ いつかは別れる




だから心に 灯し続けたいと



あの空に輝く星も又 消えた幻かもしれないと


音を立て 瓦礫は崩れ


それでも、手を空に伸ばしたまま


未練はあったのか 涙の様に泥が流れ


重なる思い出と視線が 哀しみの物語



笑顔で始まり 雨に埋もれ


それがお決まりのエンディング


鬼灯の髪留めが取れかけて 光の無い瞳は星を追う


星座を描くその夢も うち捨てられる人形に意味は無く


人形は星を見る度に思い出す 人形は星を数えて主人を想う




小さな希望と 小さな約束を



この最後の刻でさえ 心に黒い虹が輝いても



壊れた笑顔を絶やさない 月が紅に見えたとしても


大地に星屑が眩く輝く時代が来ても


人形の空は 手を伸ばした先にある


(おしまい)





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